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井上尚弥の9.14名古屋でのWBA暫定王者アフマダリエフとの団体内統一戦が正式発表された(写真・山口裕朗)
井上尚弥の9.14名古屋でのWBA暫定王者アフマダリエフとの団体内統一戦が正式発表された(写真・山口裕朗)

え?一体なぜ?井上尚弥が過去最強挑戦者アフマダリエフとの9.14名古屋決戦で「判定決着でいい」とKO宣言を封印した理由とは?ダウンの教訓とドネア、フルトン、ネリより「一段上の実力」

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が9月14日に名古屋のIGアリーナでWBA同級暫定王者ムロジョン・アフマダリエフ(30、ウズベキスタン)との団体内王座統一戦を行うことが10日、都内のホテルで発表された。井上は「今回は判定決着でいい」とあえてKO宣言を封印した。アフマダリエフが過去最強の挑戦者であり、5月4日に米国ラスベガスで8回TKO勝利したラモン・カルデナス(29、米国)戦で生涯2度目のダウンを喫した教訓と共にトレーナーがアフマダリエフと同じであることに警戒心を強めている。またセミではWBO世界バンタム級王者、武居由樹(28、大橋)が同級1位のクリスチャン・メディナ・ヒメネス(25、メキシコ)を相手にV3戦、さらにWBA世界ミニマム級王座決定戦も行われ、同級1位、高田勇仁(27、ライオンズ)と同級2位、松本流星(27、帝拳)がベルトを争う。

 「そういったときの井上尚弥が一番強い」

 モンスターがKO宣言を封印した。
「今回は判定決着でいいんじゃないかと思っている。しっかりと勝ち星をとりにいく。そういう強い気持ちで12ラウンドをフルに戦いたい」
――KO宣言をしないのは珍しい?
「そういったときの井上尚弥が一番強いと自分で思っている。KO宣言しないときほど劇的なKOシーンが12ラウンドの中で見れる」
 怖気づいたわけではない。
 井上がKO宣言を封印した理由は2つある。
 ひとつは大橋会長が「最強の挑戦者。ドネア、ロドリゲス、フルトン、ネリと色々(強い相手が)いたけど、アフマダリエフは一段上にいる。一番の強敵ですよ」と、元5階級制覇王者のノニト・ドネア(フィリピン)、元IBF世界バンタム級王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)、元WBC&WBO世界スーパーバンタム級王者で現在WBC世界フェザー級王者のスティーブン・フルトン(米国)、元2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)以上だと断言するほどのレベルにある挑戦者だからだ。
 15戦14勝(11KO)1敗とプロキャリアは多くはないが、リオ五輪銅メダル、世界選手権銀メダルと豊富なアマ実績がある。旧ソ連のウズベキスタン出身。大橋会長は「旧ソ連のアマボクサーは強かった。国としての強さを感じる」という不気味なベースがある。
「自分の中でもキャリア最大の強敵。独特のリズムと間合いがある。細かい技術、フィジカル、凄いテクニックが詰まった選手なので警戒心を高めにトレーニングをこれから積んでいきたい」
 井上も警戒心を強める。
 前哨戦となった5月30日、敵地メキシコでのルイス・カスティージョ(メキシコ)戦では、2度のダウンを奪い8回TKO勝利したが、亀田和毅(TMK)が、5回で仕留めた実力差のある相手を倒すまでに時間を要した。現地で中継した解説者に「無駄な動きが多い。相手が多くのミスを犯しているのにカウンターも打てていない。モンスターとの試合に向けて準備万全とは言えない」と酷評された。
 だが、井上は、「前回の調整試合がアフマダリエフの実力とは思っていない。アマキャリア、技術のある選手はビッグマッチですべてを変えられる力を持っている。アフマダリエフもその部類の選手で警戒している」と言い、カルデナス然り、井上戦となると、実力以上の力を発揮してくるボクサーが多いことに「だから自分もそれ以上にいかないといけない。戦い方も計画的に戦略をたてないといけない」と気を引き締めた。

 

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