
「このまま最後まで突っ走る」阪神にマジック「36」再点灯させた“ミスをカバーする力”と対照的だったヤクルトの“ミスに引っ張られる弱さ”
阪神が1日、神宮球場でのヤクルト戦に延長戦の末3-2で競り勝ち、中日が広島に逆転負けを喫したため、優勝マジック「36」が再点灯した。9回に“守護神”の岩崎優(34)が1点のリードを守れず同点に追いつかれるも、延長10回二死二塁から本塁打&打点でトップに立つ4番の佐藤輝明(26)がライトオーバーのタイムリー二塁打で勝ち越して及川雅貴(24)で逃げ切り夏のロード初戦を飾った。一方の最下位のヤクルトはミスで失った1点と奪えなかった1点が響いた。
サトテルが延長10回に決勝二塁打
最後は及川が復帰して4戦目となる村上のバットに空を切らせてゲームセット。
マツダスタジアムで中日が広島に逆転負けを喫していたため、一夜にして消えていた優勝マジック「36」が再点灯した。
多くの阪神ファンが詰めかけて「満員御礼」となった神宮でヒーローインタビューに指名されたのは佐藤だった。
守護神の岩崎が1点のリードを守れず同点に追いつかれて嫌なムードが漂った延長10回。二死二塁からライトオーバーの決勝点となるタイムリー二塁打を放った。
この回、先頭の近本がヤクルト唯一のオールスター出場選手だった大西からレフト前ヒットで出塁すると、佐藤は、「ちかさんがヒットで出た瞬間、チャンスで回ってくると思っていたので心の準備ができていた」という。
大西―中村のバッテリーは高めのゾーンにストレートを使ってファウルを誘い、2球で追い込んでいた。0-2から大西はサインに2度クビをふり、また高めに釣り球を使った。
現役時代にタイトル獲得経験がある評論家の一人は「あの1球が無駄だった。佐藤の頭の中で、落ちる球で勝負にくることがインプットされていたと思う。今季の佐藤は、ボールの見極めと同時にそういうインサイドワークができるようになった。もちろん追い込まれてストレートにタイミングは合わせるが、決してマン振りするのではなく、力まない軽打なので、落ちるボールにも十分に対応できる備えができていた」と分析した。
大西―中村バッテリーが選んだのはアウトローへのフォークボール。落差はそれほどなかった。佐藤は、バットにボールを乗せただけだったが、ヘッドが走り、ライナーで飛び出した打球はライトの頭上を襲う。
「抜けてくれ」
佐藤の祈りが通じたのか。懸命に背走した途中出場の丸山はグラブに当てながらも捕球することができなかった。
26本塁打、67打点で両部門のトップを走り、打率も.284でランキング4位。トップは広島小園の.290で“3冠”を狙える位置につけている。
首位独走の阪神と最下位ヤクルトの“格差”が出たゲームだった。