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リングチェックのため控室を出た井上尚弥。この後控室に戻ってバンテージいちゃもん事件に巻き込まれた(写真・Mark Robinson/Matchroo))
リングチェックのため控室を出た井上尚弥。この後控室に戻ってバンテージいちゃもん事件に巻き込まれた(写真・Mark Robinson/Matchroo))

「そいつを追い出して!」井上尚弥をイラ立たせたピカソ戦直前の控室での“バンテージいちゃもん事件”の真相とは?

 プロボクシングのスーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(32、大橋)が昨年12月27日にサウジアラビアでアラン・ピカソ(25、メキシコ)を3-0判定で下した「The Ring V: Night of the Samurai」の試合前には”バンテージいちゃもん事件”が起きていた。それがKO決着ができず試合後に井上が「体と気持ちが一致しなかった」と嘆く理由のひとつになった。

 前日のルールミーティングではOKと確認を取っていたのだが…

「そいつを追い出して!」
 試合前の控室。
 イラ立つモンスターが言った。
 父の真吾トレーナーが言う。
「バンテージとグローブチェックに立ち会う相手陣営のトレーナーは一人と決まっているのに、何人も入ってきていたんですよ。言葉も通じない。“めんどくせえなあ”とイライラした」
 試合前には、相手陣営のトレーナー、統括コミッションの立会人のもとで不正をしていないかを確かめるバンテージチェックとグローブチェックがそれぞれの控室で行われる。今回は井上が左手のバンテージの下地を巻き終えた段階で、突然、オフィシャルがクレームをつけたのだ。
「テープは三か所、そしてガーゼ、そしてテープの順だ」
 バンテージルールは選手や試合が開催される国によって様々だが、世界戦の場合は、ローカルコミッションのルールに沿い、それを各認定団体が承認、ルールミーティングで両陣営の確認をとった上で決定することになっている。日本のボクサーのほとんどは、まず肌に直接、粘着性のテーピングを施し、次にガーゼを巻き、再度テーピングで固定するパターン。井上もその手順でバンテージを巻く。ただし粘着性のテープをナックルパート部分に貼り付けてはならない。
 前日のルールミーティングでは、その「テープ、ガーゼ、テープ」のテーピングの巻き方について「両陣営が了承すればOK」の方針が示され、ピカソ陣営も認めていた。なのに、突然「ダメ出し」をしてきたのである。第2試合のライト級10回戦で、1-2判定負けした今永虎雅もバンテージの巻き直しを命じられていたため「もしかしたら」の嫌な予感はあったそうだが、井上の世界戦は前日のルールミーティングで確認を取っていただけに井上自身も陣営も「え?」と戸惑ったのである。
 控室に来て“いちゃもん”をつけてきたオフィシャルは、そのルールミーティングに出席していなかった人物だった。のちに関係者の一人はその様子を動画で撮影しておくべきだったと悔やんだ。
 真吾トレーナーが、「ルールミーティング通りにやっている」と強い口調で訴えたが、そのオフィシャルは「ノー」と退けた。
 ルールミーティングでは、認めていたはずのピカソ陣営のトレーナーも、そこにのっかってきて「テープを1枚ではなく2枚巻いている」と文句を言った。
 しかも、相手陣営の立ち会いは一人と決められているのに、次から次へと新しいピカソ陣営のスタッフが入ってきたので、それを目にした井上が「追い出して」と珍しくイラついたのだ。
「途中、4団体の責任者に確認をとろうとしたが、入れ替わり、色んな人間が控室に入ってきて混乱した。前日に確認をとったオフィシャルはそこには来なかった。海外では直接肌にテープを貼ることを禁止しているところがあるので、それならそれで事前にそう決めておいてくれれば、こっちも準備してあるのでそれで済む話。OKとルールミーティングで決まり、ピカソ陣営も納得していたのに、あまりにもいい加減すぎるよね」とは大橋秀行会長の説明だ。

 

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