「唯一の誤算は…」なぜ日本団体は米国を1点差まで追い詰めることができたのか…無良崇人氏は「限りなく金に近い銀」と評価
ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート団体戦の最終日が8日(日本時間9日)ミラノで行われ、日本はペアフリーの“りくりゅうペア”こと三浦璃来(24)・木原龍一(33、木下グループ)が世界歴代3位となる高得点で1位となり、続く女子シングルフリーで坂本花織(25、シスメックス)も連続1位で首位に並び、最後の男子シングルフリーで初出場の佐藤駿(22、エームサービス/明大)にバトンを渡した。佐藤はノーミスで自己ベストを叩き出したが、ミスの出た“4回転の神”イリア・マリニン(21、米国)に勝てず2位となり1ポイント差で銀メダルとなった。グランプリシリーズや4大陸選手権の金メダリストで現在プロスケーターとして活躍中の無良崇人氏(34)は「日本の層の厚さ、総合力の高さを出した。同じ銀でも前大会よりレベルの上がった限りなく金に近い銀だった」と、日本勢の戦いを評価した。
坂本のフリーで米国に並ぶ
米国を“後一歩”まで追い詰めた。
まずペアフリーで“りくりゅうペア”がノーミスの演技でパーソナルベストを更新する世界歴代3位となる155.55点という驚異的なスコアを叩き出して1位を奪い日本の逆襲に勢いをもたらした。三浦が“キスクラ”のイスから転げ落ちるくらいの衝撃的な高得点。
「練習の仕方を一から見直して質の高い練習を積み重ねてきたので、どの試合よりも自信を持つことができた。ショートをひとつ滑ってさらに自信につながり、落ち着いて試合に入ることができた。今大会が(五輪)4回目、2人で組んで3大会目。常に日本の力になることを2人で話してきて、何度もシングルの方に助けられてきた。なんとか今度は僕たちがチームジャパンを助けられるようにと、強い気持ちをもって臨んできた中ででしっかりと日本に貢献することができて良かった」
フラッシュインタビューで木原がそう話した。
“りくりゅうペア”が1位となり、日本は4位に留まった米国との差を5ポイントから2ポイントまで縮めたが、無良氏は「ここである誤算があった」という。
「アメリカのペアが期待を上回る頑張りを見せました。僕の想定より上にきました。あくまでも“たられば”ですが、もしここでもうひとつ下の順位であれば、逆転で金メダルの可能性がありました」
米国のエリー・カム、ダニー・オシェイ組が課題のジャンプをすべて決めて135.36点をマーク。カナダペアの134.42点を上回って4位につけ7ポイントを獲得した。もしひとつのジャンプでも転倒があれば5位となり、ここで日本は1ポイント差に迫り、最終的に米国とのポイント差で並ぶ可能性があったのである。
続く女子シングルフリーは、米国がトリプルアクセルが飛べるアンバー・グレン、日本はエース坂本だった。
グレンは冒頭のトリプルアクセルをなんとかこらえるも、GOEはマイナスで、そのミスを引きずり続くコンビネーションジャンプが単発のトリプルフリップに終わった。プログラムを咄嗟に変えて後半にコンビネーションジャンプを入れたが、演技終了後に下を向き、クビを振った。138.62点に留まり、ジョージアのアナスタシア・グバノワより下回り、この時点でグレンは暫定2位だった。
そして坂本がリンクへ向かう。
「アップの時からショートより今日はいけそう」との手ごたえがあったという坂本だがミスを犯した。
前半最後のジャンプにダブルアクセル+トリプルトゥループ+ダブルトゥループを予定していたが、3連続で跳べず、ダブルアクセル+ダブルトゥループに終わったのだ。動揺することなく、その後をまとめたが、競技を終えると、舌を出して苦笑いを浮かべ日本の応援席に両手を合わせて謝った。それでも、148.62点をマークしてトップとなり、ここで、グレンが3位だった米国に一気に並んだ。
坂本はワナワナと手を震わせ奇声をあげ涙を流した。
「3連続ができなくて、ちょっと失敗してしまったんですが、それでも148点が出たのに驚いた。その後にジャパンと書いてあるところの左側(総合順位)が“1”だったのでそれが何よりで、うれしい気持ちがめっちゃ大爆発しました」
“りくりゅうペア”には、「かおちゃんにいいバトンを渡すからね」と言葉をかけられた。実際の演技は見られなかったが、自己ベスト更新の高得点を見て「さすがだな」と思い「あとは自分がやるしかないと挑めた」という。

