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大谷翔平が2024年の開幕に間に合う可能性を執刀医師が証言(ドジャース公式Xより)
大谷翔平が2024年の開幕に間に合う可能性を執刀医師が証言(ドジャース公式Xより)

ドジャースが大谷翔平と10年7億ドルで契約した決め手は執刀医師の手術カルテ…「完全回復のチャンスがある」…来年9月には投手として実戦復帰の可能性も

 ドジャース入りが決まった大谷翔平(29)の入団会見を前に地元紙であるロサンゼルスタイムズ紙が、9月に右肘を執刀したドジャースの球団医師であるニール・エルトラッシュ医師のインタビュー記事を掲載し、争奪戦に参加した全球団が、手術カルテを参考に5億ドル(約710億円)以上の巨額な契約提示を決断したことを明かした。同医師は「完全回復のチャンスがある」と断言。「大谷とコーチ次第」としながらも2024年の開幕戦に打者としての出場が間に合い、早ければ9月にも投手として実戦マウンドに立てる可能性を示唆した。

 2度目の手術の復帰確率が昔に比べてアップ

 

 史上最高額となる10年7億ドル(約1015億円)の契約の裏には、ドジャースの球団医師でもあるエルトラッシュ医師の手術カルテがあった。ロスアンゼルスタイムズ紙のインタビューを受けた同医師が明かしたもの。
 大谷の契約は5億ドル(約710億円)から6億ドル(851億円)と予想されていた。その理由は、9月に行った右肘の手術。その影響から二刀流としての完全復帰に疑問符がつくのではないか?との憶測があったのだ。だが、ドジャースを含めて争奪戦に参戦した各球団は、右肘のチェックにぬかりはなかった。
「ドジャースだけが5億ドル(約710億円)以上を大谷に与えることに興味を示したチームではなかった。この争奪戦に多くの球団が参戦した。彼ら全員が手術のカルテを見た。それを球団の専属医師に見せ、この選手は、回復して二刀流選手として戻ってこれるのか?我々が支払う金額は打撃に対するものだけなのか?打撃と守備に対してのものなのか?もしくは、打撃、守備、そして投球に対してのものなのか?を確認した。これまで(のFA交渉)で最も体の状態をチェックされたひとつのケースだったことは間違いない」
 エルトラッシュ医師は、同紙の取材にそうコメントした。
 ドジャースだけでなく、ジャイアンツ、ブルージェイズら最終候補に残った球団も7億ドル(約1015億円)に近い金額を提示をしたようだが、エルトラッシュ医師の手術カルテが、その金額の根拠になったのだろう。つまり完全復帰できるとの確証を得たのだ。
 エルトラッシュ医師が師であるフランク・ジョーブ博士が、初めてトミー・ジョン手術を行ったのは、約50年前。大谷は、2018年に続き、今回は2度目の手術となったが、エルトラッシュ医師は、「私がジョーブ博士に教えを請うた時代には、2度目の手術をした場合にプレーで元のレベルに戻れる確率は30%から33%だった。1990年代に2度のトミー・ジョン手術を行えば、先発投手に復帰できる選手はいなかった」と説明している。
 だが、テクノロジーの進化によって損傷や他の問題をより早く正確に発見することが可能となり、手首の腱を肘の補強に使う技術においても様々な工夫がなされて成功確率は2倍以上に上がったという。
 トミー・ジョン手術のほとんどがエルトラッシュ医師、テキサスのキース・マイスター医師、ニューヨークのデビッド・アルチェック医師らの少数の専門医師に行われることによって「トップレベルのアスリートたちの手術結果が安定してきた」というのだ。

 

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