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セイコーゴールデンGPの100mを制したのは栁田大輝(東洋大、右端)。世界陸上金メダリストのコールマンや桐生祥秀(右から2人前)らを振り切った(写真・アフロスポーツ)
セイコーゴールデンGPの100mを制したのは栁田大輝(東洋大、右端)。世界陸上金メダリストのコールマンや桐生祥秀(右から2人前)らを振り切った(写真・アフロスポーツ)

新星現る?!なぜ21歳の栁田大輝がセイコーGGPで世陸金メダルのコールマンを振り切って優勝の“金星”をあげることができたのか…「まだ80点。100点のレースなら10秒を切れる」

「追い風1.1mをもらって10秒06。参加標準記録(10秒00)を突破することを考えたら、まだやれることがある。100点のレースができたら10秒00を切ることができるのかなと思っています」
 なお今回のレースは「80点ぐらい」だそうで、7月上旬の日本選手権で「100点」に仕上げていくという。
 栁田は高校時代から世代トップに君臨して、自己ベストの10秒02(日本歴代7位タイ)を2年連続でマーク。同世代で9秒台に最も近い男だ。今季は4月の日本学生個人選手権準決勝で10秒09、関東インカレの〝9秒台〟を経て、セイコーゴールデングランプリを10秒06で制した。
 イメージ通りに「右肩上がり」でパフォーマンスが良くなっている。今後は今月末のアジア選手権を経て、7月上旬の日本選手権で「100点」の走りを披露するつもりだ。
 昨年の日本選手権は100mで3位に沈み、有力候補だったパリ五輪の個人代表を逃した。パリ五輪は4×100mリレーの予選を走るも、決勝はメンバーから外れる〝挫折〟も経験している。
 昨年の「悔しさ」が、栁田をさらに成長させた。
「目指すところは東京世界陸上のファイナルです。去年のパリ五輪を見ていても、9秒台を出して終わりではありません。(準決勝で)9秒台を出して、もう一段階上げいかないと、ファイナルで勝負できないと思っています。10秒と9秒では桁が変わるので、9秒台は壁のように感じますけど、早いうちに出しておきたい。自分自身にプレッシャーをかけるんじゃなくて、ちゃんと走ったら、ちゃんと出ると考えて、自分のやるべきことをしっかりやっていきたい。調子を合わせてスタートライン立てれば、9秒台は絶対に出ると思っています」
 セイコーゴールデングランプリでは、サニブラウンが世界大会で先着していないコールマンに完勝した。コールマンの今季ベストは10秒06とまだ仕上がっていないが、2022年オレゴン世界陸上で6位、2023年ブダペスト世界陸上で5位に入っているファイナル常連に勝ったことは自信になるだろう。
 7月25日に22歳を迎える栁田は間違いなく次世代のエース候補だ。サニブラウンを脅かす存在になれば、日本スプリント界はさらに活況していく。連覇を狙うアジア選手権か、100点に仕上げる日本選手権か。日本人5人目となる9秒台へのカウントダウンは始まっている。
(文責・酒井政人/スポーツライター)

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