• HOME
  • 記事
  • 野球
  • なぜ阪神の藤川球児監督は岡田彰布顧問の「まだいい時に戻っていない」という“警鐘”を聞き入れなかったのか…西武戦で湯浅京己のストッパー起用が裏目に出て悪夢の逆転サヨナラ負け
阪神の藤川監督の継投策が裏目に出て西武に悪夢の逆転サヨナラ負け(写真:Imagn/ロイター/アフロ)
阪神の藤川監督の継投策が裏目に出て西武に悪夢の逆転サヨナラ負け(写真:Imagn/ロイター/アフロ)

なぜ阪神の藤川球児監督は岡田彰布顧問の「まだいい時に戻っていない」という“警鐘”を聞き入れなかったのか…西武戦で湯浅京己のストッパー起用が裏目に出て悪夢の逆転サヨナラ負け

「打者がフォークをふらなくなった。だからスライダーですよ。結果オーライ。本来の力でねじふせたんじゃない。いい時には、全然、戻っていない」
 難病「胸椎黄色靱帯骨化症」を患い、手術を受けたのが昨年8月。1軍の復活登板を果たしたのは、今年の4月29日でブランクの長さを考えると、まだ完全復活には至っていないのも仕方がない。
 藤川監督は、ここまでその湯浅を18試合に起用してきた。この日、ストレートの最速は、150キロが出てはいたが、2球だけ。球威で押し込めずコントロールに苦しみカットボールを多用していた。岡田顧問の警鐘通り、まだストッパーという大役を湯浅に任すのは、時期早尚なのだ。

 確かに石井不在は響いている。ただ結果論ではなく、岩崎をファーム調整させずにベンチに入れているのであれば、9回の頭から岩崎で行くべきではなかったか。途中救援の難しさは、現役時代に炎のストッパーだった藤川監督が誰よりも知っているはずだろう。
 絶対に落としてはならないゲーム展開だった。 
 今季初先発の伊藤は、インコースを突き、丁寧に変化球を低めに集めて、強引に引っ張ってくる西武打線を手玉にとった。本来の伊藤らしい投球で、ゴロアウトを量産。4回から7回まではパーフェクトピッチングで、スコアボードにゼロを並べた。8回に二死一、二塁のピンチを招き、及川の救援を仰いだが、そのまま逃げ切り勝ち星をつけてやらねばならなかった。
 しかも3番の森下が6回に均衡を破るタイムリー、4番の佐藤が9回にウィンゲンターの見送ればボールの高めの153キロのストレートを豪快にライトスタンドに運んだ。勝利を決定的とする18号ソロ。3、4番が得点したゲームを失えば、彼らも乗っていけなくなる。
 「7回までリードしたゲームで負けなし」の不敗神話が、2夜連続で崩壊した。あまりにもショックな負け方。それでもまだ貯金は12もあり、首位をキープし、交流戦でも、ソフトバンク、横浜DeNA、広島、中日と5チームが並んで首位の座を明け渡してはいない。
「一つの試練が来た。またみんなで明日から立ち上がってやろうかなと思います」
 藤川監督はそう前を向いたという。
 救援防御率はまだ1点台。石井不在のブルペンをどうマネージメントするのか。藤川監督の采配が、連敗脱出のポイントとなる。今日12日の両軍の先発は阪神がデュプランティエ、西武が育成出身の4年目、21歳の菅井だ。

関連記事一覧