
「広島はこんな野球をやっていたら阪神に勝てない」カープが27年ぶりの対阪神戦シーズン7連敗で“セ界”の貯金独占を許した理由とは…初球エンドラン失敗と後手に回った継投策
阪神が9日、マツダスタジアムでの広島戦に3-1で勝利して2年ぶりの10連勝を飾り、セ・リーグの貯金を独占した。2位広島とのゲーム差は8.5に広がった。広島は27年ぶりとなる対阪神戦でのシーズン7連敗の屈辱を味わうことになったが、1点を追う6回無死一塁での初球エンドラン失敗や、先発の大瀬良大地(34)の継投のタイミングが遅れるなどベンチワークが後手に回った。
“天敵”大竹にはマツダスタジアムで9連敗
最後の打者、菊池はボールと判断して見送った岩崎の外角低めのチェンジアップをストライクと判定されて三球三振に終わり、不満気な表情を浮かべた。
広島は阪神を前にすると、まるで「蛇ににらまれたカエル」の状態。
5月16日に甲子園で4-2勝利して以来、対阪神に勝ち星から見放されて7連敗。シーズン7連敗は27年ぶりの屈辱となった。6回途中までを投げて6安打1失点の阪神の先発左腕、大竹に対してはマツダスタジアムで9連敗である。
一方の阪神は、2年ぶりの10連勝で2位広島とのゲーム差を8.5に広げて貯金「17」。“セ界”の貯金を独占する独走態勢を固めた。
なぜ広島は阪神に勝てないのか。
現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は、「勝敗を分けたのはベンチワークの違い。広島の新井監督は、阪神の強さを意識しすぎる余り、采配に焦りが生まれ、後手を踏むことになった。また記録に残らないミスが目立った。広島はこんな野球をやっていては阪神に勝てない」と厳しい見解を明かした。
試合の流れを順に追っていくと、先発の大瀬良は、2回先頭の佐藤にインハイのストレートをライトスタンドにライナーで持っていかれる先制22号を浴びるも、その裏に二死から坂倉、菊池の連続二塁打で同点に追いついた。記録に残らないミスが出たのは3回だ。
一死満塁で佐藤を迎えて、広島の内野守備隊形は、二遊間が併殺狙いの中間守備。大瀬良は、おあつらえ向きのセカンド正面のゴロに打ち取るが、バットの先で打球にそれほど勢いがなかったことに加えて打者走者、佐藤の全力疾走で併殺が取れず勝ち越しの1点を許すことになった。
「菊池のトスが一瞬遅れてしかも間延びした。カバーに入った小園も前重心で勢いをつけて一塁へ送球ができていない。矢野とのコンビなら併殺が取れたのかもしれないが、菊池は小園のタイミングを見過ぎて、併殺プレーにスピードがなくなっていた」
前出の評論家はミスだったと指摘した。
そして1点を追う6回だ。
先頭の野間が大竹からセンター前ヒットで出塁すると、中村奨の初球に新井監督はエンドランを仕掛けた。だが、内角のチェンジアップに中村が膝をついて空振り。走者の野間は、二塁でタッチアウトとなった。野間のスタートもよくなかった。スポーツ各紙の報道によると新井監督は「作戦面のことは言いたくないけど、ストライクなんで何とかして欲しいところ」と、フルスイングでバットに当てることができなかった中村奨に苦言を呈したという。