
え?一体なぜ?井上尚弥が過去最強挑戦者アフマダリエフとの9.14名古屋決戦で「判定決着でいい」とKO宣言を封印した理由とは?ダウンの教訓とドネア、フルトン、ネリより「一段上の実力」
最強の挑戦者を迎えるにあたって調整方法も変える。
すでに帝拳ジム所属のWBOアジアパシフィックスーパーバンタム級王者の村田昴、OPBF東洋太平洋フェザー級王者の中野幹士らとスパーを始めているが、今後は、日本バンタム級王者で世界戦を準備している増田陸、WBOアジアパシフィックフェザー級王者の藤田健児らと拳を交える予定。
しかも13年ぶりに帝拳ジムに足を運ぶ出稽古を敢行する予定でいる。
「プロ入り前は横浜光、ワタナベ、帝拳らに行っていたけど、プロ入り後は初めて。違う雰囲気や環境で違う人が見ている中でスパーをするのは、一段と自分の緊張感や集中力をあげてくれる。それくらいしっかり仕上げたいという思い」と狙いを明かす。
アマチュア時代にも全日本選手権で敗れた相手の大学に出向き「道場破り」の感覚で「全員敵」の雰囲気の中でスパーをしたこともある。そういう環境に身を置くことで自分を高めモンスターを進化させてきた。
さらに大物もパートナーとして招く。井上が2023年12月に対戦して10回KOでWBA&IBFのベルトを奪ったマーロン・タパレス(フィリピン)だ。「アフマダリエフとの対戦経験もあり、なんとなく(フィジカルの強さなどが)似ている」(大橋会長)というのが理由。タパレスは2023年4月に判定でアフマダリエフにキャリア唯一の黒星をつけて2本のベルトを奪っている。戦った相手にしかわからないアフマダリエフのクセを伝授される可能性もあるだろう。タパレスは、現在WBC2位、IBF3位にランキングされており、井上がフェザー級に去った後の王座返り咲きに狙いを絞っている。ただ井上は「フルトン戦のリング上であったタパレスでは来て欲しくない」と注文をつけた。体重超過のぶくぶくのタパレスでは困る。大橋会長いわく、来日時の体重についても契約しているという。
この準備構想を聞くだけで「本気を出させてもらう」という言葉に説得力が増す。
本気のモンスターは果たして初見参の名古屋の地がどんなファイトを見せてくれるのだろうか。