
「ドライバーの評価で大切なのはポイントだけではない。人間性だ」大不振の角田裕毅をレッドブルが途中解雇しないこれだけの理由…フェルスタッペンのペナルティ問題と必要なホンダの合意
F1のサマーブレイク中に激震があった。レッドブルがチーム代表のクリスチャン・ホーナー(51)を電撃解任。翌日、ホーナーはファクトリーで従業員たちにお別れのスピーチを行い、チーム代表の座を降りた。同日、レッドブルは姉妹チームのレーシング・ブルズで昨年から代表を務めていたローラン・メキース(48)をレッドブルの新代表に就任すると発表した。日本のファンにとって気になるのは、この一連の人事が今年3戦目の日本GPからレッドブルでレースを戦っている角田裕毅(24)にどのように影響するのかだろう。
新代表のメキース氏は角田のスキルがハジャーより上であることを熟知
ホーナーが解任される前までの状況を整理しよう。
角田の契約はレッドブルが結んでいるが、チームを移籍させる際にはホンダ・レーシング(HRC)との合意が必要となる。3月にリアム・ローソンに代わって角田をレッドブルに移籍させる際、レッドブルとHRCとの間では「少し成績が悪いからといって、すぐに交代させる議論を始めるようなことはしないで、長い目でしっかりと見ていく」ことをHRCが確認し、角田をレッドブルに移籍させることに合意している。
そのことは、イギリスGPを訪れていた渡辺社長が再度確認していた。
「いろんな噂が出ていることは承知していますが、イギリスGPが行われたシルバーストンでチームと確認しましたが、基本的には今シーズン最後まで、裕毅がレッドブルでレースするという方向となっていることはハッキリと申し上げておきたい」
このことは解任されたホーナーだけでなく、ホーナー解任後もチームに残っているヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)も語っており、ホーナーの解任と角田の去就がリンクすることはないだろう。
そもそもチーム代表が交代するという激震が走ったレッドブルにいま必要なのは さらなる交代劇ではなく、チームの安定だ。
それでなくとも、レッドブルは昨年から 天才デザイナーのエイドリアン・ニューウェイが抜け、レースチームの要とも言えるスポーティングディレクターのジョナサン・ウィートリーもキック・ザウバーへ移籍するなどして、チームは落ち着かない1年を過ごしてきた。
そこにチーム代表の交代劇が起き、かなり浮き足立っている状態。さらにまだ発表はされていないが、マックス・フェルスタッペンもメルセデスへの移籍が噂されている。成績不振とはいえ、いま角田を交代させるほど、チームに余裕はない。
しかも、新代表のメキースは今年の3月までレーシング・ブルズで角田と共に仕事をしており、角田がアイザック・ハジャー(レーシング・ブルズ)よりも優れていることを熟知している。その角田に代えてハジャーをサマーブレイク明けからレッドブルに起用するという無謀な策は採らないだろう。
またフェルスタッペンのペナルティポイントが現在9点となっていることもレッドブル陣営が角田を安易に交代させられない理由となっている。
フェルスタッペンのペナルティポイントが次に失効するのは10月のメキシコGP。それまで3点以上のペナルティポイントが加算された場合、フェルスタッペンは1戦出場停止となる。