
「マシンに多くの変更を加える必要がある」角田裕毅がハンガリーGPフリー走行2回目9番手で初めて“フェルスタッペン超え”を果たすも予選へ向け“貪欲”さを失わず
しかし、角田の復調が新たな火種になりかねないと、オランダのF1専門メディア『GP FANS』が「レッドブル・クライシス(危機)」と題した記事で伝えている。
「新しい代表のローラン・メキースと、チームのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコとの間で、日本人ドライバーに対する評価が分かれている。これがレッドブルにおける新たな問題と化しつつある」
レーシングブルズ代表時代から、メキース氏は角田のよき理解者だった。解任されたホーナー前代表の後任にメキース氏が就いた人事に、角田自身も「まったく予想していなかった」と驚き、さらに「これは本当に素晴らしいこと」と歓迎した。
対照的にチームの重鎮であるヘルムート・マルコ氏(82)は、今季第3戦の日本GP前に緊急昇格させた際に大きな期待をかけていた角田が、結果を残せずシビアな指摘を繰り返すようになった。角田が予選で躍進したベルギーGPでも、決勝の結果を受けて期待外れと言わんばかりにこう語っている。
「コミュニケーションミスがあったとはいえ、約束されていたものとは違った」
2人の対照的な評価がレッドブルの内部分裂を招きかねないと同メディアは指摘する。
「歯に衣着せない性格のマルコはセカンドドライバーを厳しく批判し、角田を支持するメキースの意見にまったくと言っていいほど同調していない。いずれは25歳の日本人ドライバーに対して、その将来を評価する時期が訪れる。そのときには角田に対するアプローチの違いから、新たな意見の相違が生み出されかねない」
ハンガリーGP開幕のタイミングで、ドイツのF1専門メディア『F1-INSIDER.com』が、マルコ氏のロングインタビューを掲載した。来季のレッドブル残留を表明したフェルスタッペンを含めてチームの未来を語ったマルコ氏は、今季限りで契約が満了する角田の今後に関して、従来の説明を再び繰り返している。
「私たちのドライバー評価は伝統的にサマーブレイク後に行われる。現時点ではすべてが開かれている。私たちはパフォーマンスをポジティブにもネガティブにも評価する」
F1カレンダーはハンガリーGPの後に4週間のサマーブレイクに入る。現状で6戦続けて入賞及び獲得ポイントがなく、レッドブル史上のワースト記録に並ぶ不名誉な状況へ“リーチ”をかけている角田にとって、公式予選、決勝と続くハンガリーGPは、マルコ氏を含めたチーム首脳陣へアピールする最後のチャンスとなる。
フェルスタッペンを上回ったとはいえ、FP2全体のタイムでは1・2位を占めたマクラーレン勢を含めた上位陣に大きく離されている。マシンが抱える問題を解決し、フリー走行3回目(FP3)を経てどのように仕上げていくのか。公式予選、決勝へ向けてギリギリの戦いが続く。