
「もっと事前に教えてくれよ!」角田裕毅が新パワーユニット投入も17位惨敗のハンガリーGPでまたレッドブル陣営と無線で“トラブル”…「コミュニケーションを改善する必要がある」
コミュニケーションミスが起こるたびに、角田は無線越しに声を荒げてきた。陣営の雰囲気の悪さに、初日からグリップ不足状態がまったく解消されない点を含めたレッドブル勢のマシンの低調ぶりが追い打ちをかけた。
8番グリッドで決勝をスタートさせたフェルスタッペンは、姉妹チームのレーシングブルズのリアム・ローソン(23、ニュージーランド)の後塵を拝する9位でフィニッシュ。レッドブルのローラン・メキース新代表(48、フランス)はレース後に「マックスにふさわしいマシンを与えられなかった」と謝罪した。
決勝は絶好調のマクラーレン勢が4戦連続で1・2フィニッシュを達成した。5年連続のドライバー王者獲得を狙いながら、現状でマクラーレン勢に大差をつけられての3位にあえぐフェルスタッペンが大逆転でタイトルを獲得する可能性を、レッドブルのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮、ヘルムート・マルコ氏(82、オーストリア)は「明らかに不可能だ、と言っていい」と白旗を上げた。
角田のハンガリーGP決勝は、2度目のピットインでハードタイヤに交換した38周目以降は、最下位のアルピーヌのフランコ・コラピント(22、アルゼンチン)の追撃をかわすのが精いっぱいだった。ハースのオリバー・ベアマン(20、英国)がリタイアし、さらにアルピーヌのピエール・ガスリー(29、フランス)が10秒タイムペナルティを科されたなかで、最終的には17位でフィニッシュした。
これで10位に入賞した第7戦のエミリア・ロマーニャGPを最後に、角田の入賞及び獲得ポイントなしは7戦連続に伸びた。2008年のデビッド・クルサード(54、英国)に並ぶレッドブル史上のワースト記録保持者となった角田は、フラッシュインタビューのなかで、こうも言及した。
「レースの中盤から終盤にかけてダメージを被ったが、それは僕にはコントロールできないことだった。ただ、あのおかげでペースを維持するのにかなりの代償を支払った。そして、このレースは、それですべてが終わってしまった。(前戦で)アップグレードが投入されてから、ペースに関しては上がっている。フリー走行から予選まで、一貫してマックスに近いペースを維持できている。非常にポジティブにとらえられえると思うが、同時に僕はポイント獲得を目指している。その意味で本当に厳しい週末だった」
角田が指摘したダメージとは、50周目にキック・ザウバーのニコ・ヒュルケンベルグ(37、ドイツ)にオーバーテイクされた際のアクシデントと見られる。実際に角田のマシンは、フロントウイングの左部分に損傷を追ったまま残り20周を走っている。
F1は次戦のオランダGPまで約4週間のサマーブレイクに入る。
角田はそれらの突きつけられた課題を解消しようと意欲的だ。
サマーブレイク初日となる今日4日の予定を変えて、レッドブルがファクトリーを置く英国のミルトン・キーンズへ向かうと語ったと、米国のモータースポーツ専門メディア『motorsport.com』が伝えた。
「明日はファクトリーに行って、グリップが不足した原因をさらに調査するつもりだ。うまくいけば原因を見つけられてチームを助けられるかもしれない。僕たちは今回のようなレースウィークを過ごしたくないし、絶対に強くなって戻ってきたい」
新代表のメキース氏は、角田のポテンシャルを評価しているが、マルコ氏はセカンドドライバーの去就について「チームの伝統に則ってサマーブレイク後に評価する」とも明かしている。レッドブルのワースト記録を更新してしまった角田の去就は、いまだに不透明。オランダGPから不振脱却に向けて再スタートを切れるのか。それとも激震が起きるのか。角田にとって気の休まりそうもないサマーブレイクに突入した。