• HOME
  • 記事
  • 野球
  • 優勝した沖縄尚学と日大三の“差”はどこにあったのか…「狙い球の絞り方に疑問」ノムさん“参謀”が戦術から分析した夏の甲子園決勝
沖縄尚学が3-1で日大三を下して頂点に(写真・スポーツ報知/アフロ)
沖縄尚学が3-1で日大三を下して頂点に(写真・スポーツ報知/アフロ)

優勝した沖縄尚学と日大三の“差”はどこにあったのか…「狙い球の絞り方に疑問」ノムさん“参謀”が戦術から分析した夏の甲子園決勝

 日大三は、1回一死二塁から本間律輝が新垣のストレートを狙い打ちし、右中間をゴロで抜けていくタイムリー二塁打で先制した。このストレート狙いの成功が仇になった。
 新垣は92球を投じたが、ストレートが38球、スライダーが39球、カーブが6球、フォークが9球という配分で変化球が、59%を占めていた。だが、結果球は6回までストレートが11球で変化球が8球。

 象徴的だったのは、松井氏が「智弁学園時代の巨人の岡本和真クラス。コンタクトできるゾーンでいえば田中の方が上」と評価していた2年生4番、田中諒だろう。1回に先制点を奪い、なお一死二塁と続いた得点機にストレートを狙ったが、力んで差し込まれてセカンドフライ。3回には二死一塁でスリーボールから甘いストレートを狙いにいったが、また詰まったセンターフライ。第3打席もストレートをとらえきれず、8回の第4打席は、ようやく高めに浮いたスライダーを打ちにいったが、これもショートフライ。PL学園の清原和博氏が1984年に作った2年生での大会3本塁打の記録に並ぶことはできなかった。
 日大三は同点で迎えた4回には一死満塁のチャンスをつかむが、山口はストレートに差し込まれてセカンドフライ、松永海斗はストレートではなく初球のスライダーに手を出したがショートゴロに倒れた。5回は8球、6回は5球で攻撃が終わり、比嘉監督が「5回まで」と考えていた新垣をリズムに乗せてしまった。結局、8回に足の違和感を訴えていた新垣を8回二死まで攻略できず、末吉にバトンをつながれ、2回以降スコアボードにゼロを並べることになったのである。
「新垣、末吉の2年生の2人はこの夏にかなり成長した。田中もこの悔しい経験が来年に生きるはず。3年になった彼らがどんな姿で甲子園に戻ってくるかを楽しみに待ちたい」
 松井氏の思いは今大会を見守ったファンの思いと同じだろう。

関連記事一覧