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パリ五輪金メダリストの北口榛花がまさかの予選敗退(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
パリ五輪金メダリストの北口榛花がまさかの予選敗退(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

「右肘のテープを外したが…」なぜパリ五輪金メダリストの北口榛花はまさかの予選敗退となったのか…技術と感覚のズレと目に見えぬ重圧…「長い休みが必要」

 東京2025世界陸上の女子やり投予選が19日、国立競技場で行われ、パリ五輪金メダリストで前大会覇者の北口榛花(27、JAL)が登場したが、怪我の影響で記録が伸びず、60m38の投擲で、突破ラインの62m50を超えられず、決勝進出条件の上位12人にも入ることができず、まさかの予選敗退となった。なせ日本のエースは結果を出せなかったのか。

「右肘の怪我への不安はなかった」

一昨年のブダペスト世界陸上と昨年のパリ五輪で金メダルを獲得している北口榛花が、34年ぶりに東京で開催された世界陸上でまさかの〝予選敗退〟となった。
 予選は19時30分開始のA組と21時00分開始のB組があり、合計36人が出場。決勝へ進むには62m50を超えるか、上位12位以内に入る必要があった。
 そのなかで北口は予選A組の第1競技者として登場。5万人の観衆から大きな拍手で迎えられた。注目の1回目、北口は60m31をマーク。記録を残して安堵したのか笑顔が見えた。
 1回目の試技を終えて4位につけていた北口。2回目は記録を7cm伸ばす60m38を残すも、悔しそうな表情を浮かべた。その後、他の選手たちも次々と60mラインを超えていく。上田百寧(ゼンリン)にも記録を抜かれて、女王は7位に転落した。
 最終3回目のやりも伸びず、大観衆から「あ~」というため息が漏れる。58m80に終わり、北口はA組8位という結果に沈んだ。自力で予選を突破することができず、決勝進出はB組の結果次第となった。
 北口の人気は凄まじく彼女がピッチに姿を現すと、大観衆から「北口!」のコールがとまらなかった。その声援が追い風になったのか、それとも重圧になったのか。
 試合を終えた北口は目を真っ赤にしてミックスゾーンに現れた。そのときはパリ五輪10位で同組に出場した上田が取材対応をしていた。同じ試合で北口を一度も上回ったことがなかったという上田は、「試合はやってみないと分からないんだなと改めて感じました」と絶対女王の結果に驚いていた。

 北口の取材が始まると、まずは神妙な顔で、「たぶん決勝には残れない。悔しい結果になったんですけど、春先からちょっとケガが続いて、精神的にも苦しい部分がたくさんありました。その度に今年は東京世界陸上があるから『やっぱり練習に戻ろう』という気持ちになれたんです。今シーズンの素敵なゴールを作ってくださった皆さんに感謝したいです」と語った。

 今季は6月12日のダイヤモンドリーグ(以下DL)第6戦(ビスレットゲームズ、オスロ)でDL通算10勝目をマークするも、その後は右肘炎症に苦しんできた。7月上旬の日本選手権は欠場。8月21日のDL第13戦(アスレティッシマ、ローザンヌ)で実戦復帰したが、50m93の10位に終わった。それでも8月29日のDLファイナル(ヴェルトクラッセ・チューリッヒ)では60m72の6位まで調子を上げてきた。
 今大会は右肘の状態が心配されていたが、「右肘に関しては、あまり不安要素はなかった」と北口は言う。
 しかし、「自分のやりがどのぐらい前に飛んでいくのか。正直、想像できないまま練習してきたんです」と技術面での不安を抱えていた。

 

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