
角田裕毅をボロクソに酷評していたシューマッハ氏が“手のひら返し”の「来季の(レッドブルセカンドシート)有力候補」
来季の去就が注目されるレッドブルの角田裕毅(25)を酷評してきた元F1レーサーのラルフ・シューマッハ氏(50、ドイツ)が、手のひらを返して称賛した。角田がレッドブル移籍後で最高位となる6位入賞を果たした前戦のアゼルバイジャンGP決勝を受けて、英国メディアで、「角田も来季の(セカンドシート)有力候補」と明言した。角田の不振が続いた前半戦に「彼のF1のキャリアは終わった」などと辛口批判を展開してきたシューマッハ氏の豹変は、姉妹チーム・レーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(20、フランス)の来季昇格が有力視されている状況の変化を意味するのだろうか。
アゼルバイジャンGPの6位で状況が一変
辛口で知られる元F1ドライバーが、まさかの手のひら返しだ。
注目を集める来季のレッドブルのセカンドシート問題。角田の残留はなくハジャーの昇格が有力との報道が相次ぐ中で、F1のレジェンド、ミハエル・シューマッハ氏(56、ドイツ)の実弟で、ウィリアムズで6度優勝したラルフ氏が、「角田が来季の(レッドブルセカンドシートの)有力候補と見なされる」と英国のF1専門メディア『PLANETF1.COM』で明言した。
「バクー(アゼルバイジャンGP)の前までならば、来季のレッドブルのセカンドシートはレーシングブルズでセンセーショナルな結果を残してきたルーキーのハジャーが獲得すると見ていた。しかし、角田がレッドブルのマシンに適応しつつあり、マシンも角田に近づいていると判断されれば、それが彼も有力な選択肢となる」
今季限りでレッドブルとの契約が満了する角田はサマーブレイク中にチームと協議し、再開後に行われるレースの内容と結果で来季の去就を判断する方針で合意した。さらにチームのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮ヘルムート・マルコ氏(82、オーストリア)が、角田の去就を決める時期を「9月か10月頃」と言及。レッドブルは10月末にも来季布陣を発表すると見られている。
しかし、角田は、再開初戦のオランダGPで9位、イタリアGPでは13位に終わる。対照的にハジャーはオランダGPで3位に食い込んで自身初の表彰台に立ち、イタリアGPでもピットレーンスタートから10位入賞を果たした。
この間に角田を厳しく批判した急先鋒的な存在がラルフ氏だった。
英国のF1専門メディア『F1 OVERSTEER』上では「彼のF1でのキャリアは終わったと見ている」と、角田の来季も対象にしながら辛らつな持論を展開していた。
「レッドブルでは明らかに打ちのめされ、レースの度に過ちを犯し続けている。簡潔に言えば、フェルスタッペンから大きく遅れを取っている現状をこのまま改善できなければ、間違いなく今季限りでレッドブルから脱落する。さらに来季に至っては、他チームでF1のシートを獲得する状況すら訪れないだろう」
しかし、前戦のアゼルバイジャンGP決勝で、角田がレッドブル移籍後で最高位となる6位入賞を果たすと、ラルフ氏の評価が一変した。角田は、6位に入っただけでなく、前を走るレーシングブルズのリアム・ローソン(23、ニュージーランド)とのバトルをあえて自重。優勝したエースのマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)を援護すべく、後方から追い上げるマクラーレンのランド・ノリス(25、英国)やフェラーリ勢のライバル車を抑える役割にも徹した。
レッドブルのローラン・メキース代表(48、フランス)は、角田の結果だけでなくレース内容も高く評価。同時にこれがラルフ氏に“手のひら返し”をさせた要因にもなったのだろう。ラルフ氏はこう続けている。