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大谷翔平が9点を追う7回に意地の2ランを放つ。自身のWシリーズ初アーチだ(写真:UPI/アフロ)
大谷翔平が9点を追う7回に意地の2ランを放つ。自身のWシリーズ初アーチだ(写真:UPI/アフロ)

大谷翔平に浴びせた「お前なんかいらない」の“屈辱”ファン大合唱にブルージェイズの選手や監督が「熊を挑発するな」「特別な選手にコメントは難しい」と困惑の反応を見せた理由とは?

 ドジャースが24日(日本時間25日)、敵地トロントでのブルージェイズとのワールドシリーズ第1戦に4-11で完敗した。大谷翔平(31)は7回に自身同シリーズ初となる一発を放ったが、その後の打席で、敵地のファンから「お前なんかいらない」との大合唱を受けた。2年前のFA交渉時の因縁を皮肉られたものだが、先発でありながら中継ぎ登板したクリス・バシット(36)が「熊を挑発するな」と発言するなど、ブルージェイズの面々は二刀流スターを刺激するようなファンの態度に困惑の反応を示した。

スプリンガー「大谷は史上最高の野球選手の一人だし、まだあと15年はプレーできる」

 4万4千人を超えるファンで埋まったロジャースセンターをまさかの大合唱が包んだ。ブルージェイズが11-4の大差で迎えた9回だ。二死から大谷が打席に入ると「We don’t need him(お前なんていらない)」の痛烈なチャントが起きたのだ。
 これは2年前の因縁を皮肉ったもの。
 エンゼルスからFAとなった大谷は最終候補にブルージェイズを残し、フロリダの施設を視察し、ジョン・シュナイダー監督と面談も行い、MLBネットワークのジョン・モロシ記者が「大谷が(契約のため)トロント行きの飛行機に乗った」とのニュースまで飛ばした。だが、これは世紀の誤報で、大谷はドジャースと10年7億ドルで契約した。前日会見でジョン・シュナイダー監督が「あの時にプレゼントした帽子とデコピンのジャケットを持ってきて!」とジョークを飛ばし、大谷は「ガレージに置いてある。大事にもっておく」と絶妙のアンサーを返したが、ファンは大谷の裏切りを許していなかった。
 大谷は9点を追う7回一死一塁でブレイドン・フィッシャーのカーブを捉え、バットの先だったが持ち前のパワーとスキルでライトスタンドまで運んだ。2回目の出場となるワールドシリーズで初の本塁打。だが、それも焼け石に水。1回の第1打席は、トレイ・イエサベージのスプリットで空振りの三振に倒れ、2回に先制点を奪い、なお二死満塁の追加点機には一塁ゴロ。5回の第3打席も見逃しの三振に終わっている。結局、大谷は、この「お前なんかいらない」のチャントを浴びた第5打席で四球を選んだ。だが、ファンはアディソン・バージャーのワールドシリーズ史上初となる代打満塁本塁打などで、大量得点を奪った展開に大満足して、「大谷がいなくともこんなに点が取れる、ざまあ見ろ!」とばかりに皮肉ったのである。
 だが、ブルージェイズのナインや監督の受け止め方は複雑だった。
 フォックススポーツによると、ベテランエースのバシットは「熊を挑発するな」とファンへ警告を発した。
 MLB公式サイトによると、リーグ優勝決定戦の第7戦で劇的な逆転3ランを放ったリードオフマンのジョージ・スプリンガーも、「ブルージェイズに本当に大谷は必要ではないのか?」と質問され、「一瞬言葉を止め、慎重に安全な答えを探し始め、そして最終的に無難な答えを見つけ出した」という。
「つまり……彼はショウヘイ・オオタニだよ。彼は史上最高の野球選手の一人だし、まだあと15年はプレーできる。信じられないほどの才能だ。でも、これが“俺たち”なんだ。これが俺たちのチームなんだよ」
 同サイトは「彼はその話題には一切関わろうとしなかった。賢明にも質問をうまくかわした」と、その時の様子を紹介した。

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