「ツノダを残留させない理由が実証された」フェルスタッペンのサンパウロGP公式予選Q1敗退の原因は角田裕毅にあった?
「角田のF1での将来が疑問視されている状況で、サンパウロGPのスプリント決勝と公式予選で起こった一連の事態を介して、角田のF1における豊富な経験が、思っているほど、彼の利点ではないことが証明された。実際問題として、公式予選前にフェルスタッペンのマシンに施された変更は完全に間違った選択だった。かねてから高く評価されてきた角田のフィードバック能力が、フェルスタッペンのマシンのセットアップ変更においてどの程度影響したかが、最終的にレッドブルにおける角田の将来を決定する可能性がある。サンパウロGP期間中の土曜日は、レッドブルが2026年に角田を残留させない理由が実証された日になるかもしれない」
9日(同10日)の決勝を前に、フェルスタッペンは新たにパワーユニット(PU)を交換するなど、マシンにさらなるセットアップ変更を加えた。その結果としてピットレーンからのスタートとなった決勝では、それまでとは見違える走りを見せた。
ピットレーンスタートから表彰台に立ったケースは、長いF1の歴史上でも8度目だった。2014年7月のハンガリーGPで3位に入ったメルセデスのルイス・ハミルトン(40、英国)以来の快挙を讃えるレッドブルのローラン・メキース代表(48、フランス)のコメントを、米国のモータースポーツ専門メディア『motorsport.com』が伝えた。
「すべてはセンセーショナルなドライブをしてくれたマックス(・フェルスタッペン)の功績だ。そしてサンパウロGPを通じて起こった真実は、スプリント決勝を終えた時点でマシンの状態に誰もが満足していなかった点に尽きる。最適とは言えないマシンに誰もが甘んじたくなかったからこそ、私たちは公式予選前にマックスのマシンに変更を加えた。結果は明らかに間違っていたが、それがレッドブルの精神でもある。それくらいのリスクを冒さなければ、勝てないと思ったからだ」
スプリント決勝ではランド・ノリスがポール・トゥ・ウインで優勝し、フェルスタッペンは予選6位から追い上げるも4位だった。ランキング首位のノリスと3位のフェルスタッペンのポイント差が若干ながらも開いた状況を踏まえて、レッドブルも角田のフィードバックを生かして公式予選及び決勝での一発逆転を狙った。しかし、ノリスの優勝で決勝を終えた今、両者のポイント差はスタート前の「39」から「49」へ広がった。
サンパウロGPを前に、角田はドライバーズ選手権で逆襲を狙うフェルスタッペンの援護と、コンストラクターズ選手権におけるレッドブルの2位フィニッシュに貢献する目標を掲げていた。しかし、フェルスタッペンの足を引っ張ることになり、レッドブルはフェラーリを抜いて3位に浮上したものの、2位メルセデスとの差はサンパウロGP前の「9」から「32」へ逆に広がった。決勝で完走した17台中で最下位に沈んだ角田のポイントなしが響いた。
しかも、来季のレッドブルのシートを争う姉妹チーム・レーシングブルズの新人アイザック・ハジャー(21、フランス)は8位に入賞。ハジャーが昇格した場合、もう角田はレーシングブルズ復帰しか道はないが、そこでシートを争うリアム・ローソン(23、ニュージーランド)はハジャーを上回る7位でチェッカーフラッグを受けた。
角田は来季残留へ向けてアピールするどころか、逆に評価を大きく下げてしまった。
自身の去就を含めた来季の陣容が発表されるまで、残されているレースはわずか2戦。角田がサンパウロGP決勝後に「僕のキャリアの中で最悪の週末のひとつだった」と落胆した理由がここにある。

