「野球人生を終えた時に戦力外通告が通過点だったと言えるように」40歳の元広島松山竜平と35歳の元ソフトバンク又吉克樹の最年長コンビがトライアウト挑戦で伝えたかったものとは?
日本プロ野球選手会主催の合同トライアウトが12日、広島の本拠地マツダスタジアムで行われ、プロ野球で戦力外通告を受けた選手ら38人が参加した。シート打撃形式で実施された中で、広島ひと筋で18年間プレーした40歳の松山竜平外野手が3安打を放って地元のファンから大声援を浴びれば、中日とソフトバンクで通算503試合に登板した35歳の又吉克樹投手も切れ味鋭い決め球のシュートを披露。昨季までの日本野球機構(NPB)との共催から、選手会単独開催となった舞台で現役続行をアピールした。
「不完全燃焼」で挑んだ松山はホームのマツダで猛打賞
マツダスタジアムのボルテージが一気に上がった。
シート打撃形式で行われたトライアウト。カウント0-0から投手は打者3人と対戦し、打者は、最大8打席に立った中で、広島ひと筋で18年間プレーした40歳の大ベテラン、松山が、最初のセッションでいきなり左打席に立ったからだ。
しかも竹内龍臣(23、BC茨城)がカウント3-1から低目に投じたフォークに体勢を崩されながらしぶとくライト前へ落として喝采を浴びる。第3打席で高橋礼(30、巨人)から、第7打席では、森木大智(22、阪神)からともにセンター前へ痛烈なヒットを放った松山は、広島ファンの声援の後押しに感謝した。
「(ヒットは)自分らしくしっかりと一球で仕留められましたし、ファンのみなさんの前でいいものを見せられたと思っています。何よりもシーズンと変わらないくらい大きな声援を送ってくれて本当に嬉しかったし、僕の力になりました」
2007年の大学生・社会人ドラフト4位で九州国際大から広島に入団。2016年からは3年連続2桁本塁打を放ってリーグ3連覇に貢献しながら徐々に出場機会が減り、出場わずか1試合に終わった今季オフに戦力外を通告された。
9月に40歳になった。18年間に渡ってひと筋でプレーし、通算で1304試合に出場して打率.278、83本塁打、535打点をマークした愛着深い広島で、現役を終える選択肢も脳裏をかすめた。同時に二軍で53試合に出場して打率.265をマークした今季を振り返ったときに、野球に別れを告げられない自分の存在に気がついた。
相談した家族から「好きなようにやっていいよ」と後押しされた松山は、今回のトライアウトでは最年長となる40歳での挑戦を決めた。
「不完全燃焼のまま今季を終えたので、どこかでもうちょっと頑張ってみようかな、と。ずっと下でやってきた中でまだまだできると感じていたし、何よりもマツダスタジアム開催というのがやはり一番大きかった。一緒にトライアウトに臨んだ広島の若い子たちからは『頑張って下さい』だけでなく『怪我をしないで下さい』とも言われました。やるべきことはやったので、後はワクワクしながら連絡を待つだけですね」
投手陣で最年長となる35歳の又吉は、不思議な縁を感じていた。

