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井上尚弥と中谷潤人は目を合わせなかった(写真・山口裕朗)
井上尚弥と中谷潤人は目を合わせなかった(写真・山口裕朗)

なぜ12.27リヤド発表会見で井上尚弥と中谷潤人の発言は対照的だったのか…モンスターはピカソ相手に再び“キラー”から“倒し屋”へ変貌?!

 この日は、ひな壇で中谷と隣り合わせとなり、2人だけのツーショット写真も求められた。だが、井上は目を合わせることもなかった。
「特に目を合わせるようなシチュエーションはなかった(笑)。意識はしていない。裏では楽しく話をしていますよ」
 まだピリピリ感はない。
 中谷によると、最近、自身が完成させた立派なプライベートジムが2人の話題になったという。
 井上は、NHKの記者に改めて中谷戦に向けてのコメントを求められると「お互い勝たねばならない試合。そこは聞かなくてもわかりますよね?」と、困惑した表情を浮かべてピシャリと返した。
 一方の中谷からは「来年のビッグマッチ」についての話は一度も出てこなかった。中谷はスーパーバンタム級への転級初戦のテストマッチで、20勝(18KO)無敗のセバスチャン・ヘルナンデスと対戦する。井上が、サム・グッドマン(豪州)を想定してスパーリングパートナーとして呼んだことがあり「タフだ」と評していたオーソドックススタイルのメキシカンだ。
「階級を上げてスピード、パワーが上がっている感覚がある。パンチ力を過信せず、しっかりと自分のボクシングをしてダメージを与えていければと思っている。ヘルナンデスはパンチがあり集中力のいる戦いになる。これまでたくさん無敗のボクサーと戦ってきた。しっかりと自分のボクシングをして黒星をつけたい」
 中谷は会見の問答の中で「パンチ力を過信せず」というフレーズを繰り返し使った。その理由を「(階級が上がり)相手にダメージを与えられない可能性もある。そこを想定しながら、たくさんパンチを出していきたい」と明かす。
 そこには未知の領域に挑む不安と自信が見え隠れしていた。
「(来年)5月を見据えてはいるが、12月27日に大切な試合が待っている。そこにいいパフォーマンスを見せることに全集中している。これまでも1戦、1戦、戦ってきた。その延長戦上にビッグマッチがある。ひとつひとつテーマを持って成長したい」
 それが本音だろう。
 先の戦いをモチベ―ションにしている井上とは対照的だ。

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