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男子日本代表新HCに就任した琉球ゴールデンキングスの桶谷大氏(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)
男子日本代表新HCに就任した琉球ゴールデンキングスの桶谷大氏(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

もう八村塁は文句を言わない?「人事に選手の意見が影響したことはない」ホームズ解任→八村引き金説を否定した協会が琉球HCの桶谷大+2人のNBAコーチ経験者の日本男子代表新指導体制を発表

 日本バスケットボール協会(JBA)は3日、都内のホテルで記者会見を開き、トム・ホーバス・ヘッドコーチ(59)に替わる新HCにBリーグの琉球ゴールデンキングスHCの桶谷大氏(48)を就任させることを発表した。アシスタントコーチとしてシーホース三河のHCでNBAワシントン・ウィザーズでコーチ経験のあるライアン・リッチマン氏(36)、NBAニューヨーク・ニックスでアシスタントコーチを務めた吉本泰輔氏(44)が脇を固める新布陣。暫定ではなく2028年のロス五輪まで指揮を預ける方針だという。ホーバス氏を批判して以来、代表に参加していないレイカーズの八村塁(27)を納得させることができるのか。

 協会からホーバス氏に契約解消を提案

 前日にホーバスHCの退任を発表したJBAの対応はスピーディーだった。島田慎二会長と、伊藤拓摩強化委員長が緊急会見に臨み、ホーバスHCを事実上解任した経緯を説明し、今後の新体制について発表した。
 島田会長は「今後の方針についてホーバス氏に説明を行いましたが、双方の考えに隔たりがあることが明らかになりました。強い信念と実績を持つホーバス氏に対し方針の修正をお願いすることは指導者としての本質に踏み込むものであり結果としてリスペクトを欠くのではないかという判断に至りました。これらを総合的に勘案してJBAから契約解消を提案しました」と説明した。
 JBAは、昨年10月に強化体制を一新した。
 そのメンバーが策定した今後の方針は2021年から男子代表のHCに就任したホーバス氏の指導方針と相反する部分が多く、ホーバス氏に無理強いすることを避けるため、JBAが契約解消を提案、1月30日に両者が合意し1月31日に退任が決定した。
 ホーバス解任の理由のひとつに八村との確執が浮上していた。
 パリ五輪後に八村が「僕たち男子選手のトップのプレーヤーたちをわかっていて、プロとしてもコーチを務めた経験のある人がコーチになって欲しかった」「プレーヤーファーストの精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくない。練習のやり方、ミーティングも世界レベルではない。協会の上の人たちが世界レベルのコーチという話をしていたが、そもそもその人たちが世界を見たことがない」などと協会の方針とホーバスHCを批判。昨年12月には、島田会長と伊藤委員長が米国を訪れ、八村、河村勇輝らと意見交換を行っていた。
 だが、伊藤委員長は明確に否定した。
「ヘッドコーチの人事において選手の意見が直接反映、影響したということはありません。コーチング、トレーニング、食事、宿泊など選手が集中して成長できる環境を整える中で、選手に意見を聞くことはあります。ただ、特定の選手の意見によってヘッドコーチをどうするかを決めるのではなく、日本のバスケットの現状と世界の動向を照らし合わせ、今回のヘッドコーチ人事を決定いたしました」

 

 また島田会長は、2月26日、3月1日に沖縄でワールドカップ2027のアジア地区予選が控えているこのタイミングでのHC交代について、SNSでは、疑念の声が出ていることを認めた上で「短期的な試合結果だけでなく新体制のもとで1試合でも多くの経験を積み、チームのケミストリーと一体感を高めることが重要であると判断しました」と説明した。
 そして新HCに選んだのが、琉球ゴールデンキングスのHCで2022ー2023年にBリーグ優勝、昨年は天皇杯で優勝している桶谷氏だった。
 桶谷氏の父は京都の高校でバスケットの監督を長く務めた有名人で、桶谷氏自身もプレーしていたが、高1の夏にネフローゼ症候群という腎臓の病にかかりプレーヤーを断念。そこから指導者への道を目指したという異色の経歴がある。
 アリゾナ州立大で、のちにNBAで活躍し、セルティックスでファイナルも制したエディー・ハウスの個人練習を手伝った縁で、チームのマネージャーを務めるなど、コーチングを6年間学んだ。
 ノースカロライナ大の伝説的コーチ、ディーン・スミス氏の著書「マルチティブルオフェンス&ディフェンス」などの原書を読みあさる勉強家で、オーソドックスなマンツーマンの信奉者であるが、bjリーグの大分ヒートデビルズでコーチ業をスタートさせた時から一貫してチームディフェンスの“プロ”で「負けないバスケット」をやらせたら右に出るものはいない。
 bjリーグ時代の琉球ゴールデンキングスで優勝、その後、岩手ビッグブルズ、大阪エヴェッサ、仙台89ERSを経て2021年から琉球ゴールデンキングスに復帰している。信念の人ではあるが人当たりはソフトで温厚。選手はもちろん、他のコーチ、スタッフとのコミュニケーションを重要視し、仙台89ERS時代には、2人一組で練習の前後に目標と反省をフィードバックさせる「ペアトーク」という手法を導入して成果をあげた。常にチームの目標を明確化し、それを曖昧な日本語ではなく英語で示す。
 伊藤委員長は、Bリーグとの兼任のメリットをこう強調した。
「どれだけ自国リーグの選手のことを知っているかが大切です。例えばNBAの有名なコーチが日本に来てヘッドコーチをしたからといってすぐに勝たせるチームを作れるかと言ったらそこはなかなか難しい。まずは日本のバスケットカルチャー、日本の選手たちを知るところから始めなければいけないからです。ただ代表のチーム作りにはスピード感も必要です。そしてBリーグのレベルも上がり、コーチのレベルも上がっています。そういった部分もあって今回の決断に至りました」
 一部のBリーグ関係者の間からは「代表選考に必要なはずなのにホーバスがBリーグの試合をあまり見にこない」との不満の声もあがっていた。そのあたりの反省も踏まえての人選だろう。

 

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