「僅差になると…」銅メダル丸山希が惜しくも金、銀に届かなかったポイントはどこに?ラージヒルでの金メダル可能性は?
49番目スタートの丸山は1回目に97mを飛び、飛型点も17.5が2人、17.0が1人で、追い風の16.6点の補正点がつき、計135.7点で3位につけた。トップのストロムは、100mで136.9点でわずか1.2点差、2位のプレブツは98mで0.2差しかなかった。距離換算で金メダルまでわずか50㎝差だった。2回目で、丸山は銀メダルのブレブツをその50cm上回った。しかし勝てなかった。
この金、銀との差はどこにあったのか。
前出の岩瀬氏は、こう説明した。
「テレマークの差です。プレブツは今回が初めての五輪。緊張がもの凄く1本目は、飛距離を伸ばそうとして焦って失速し、しかもテレマークを入れるのをぎりぎりまで待ち、粘り過ぎて中途半端になってしまいました。でも2回目は余裕を持って得意のテレマークを決めました。ストロムとも、丸山は1、2回を合わせて飛型点で1.5点の差がありました。ここがノーマルヒルの僅差の勝負の部分です」
丸山は、2022年の北京五輪の前年10月に左膝前十字靱帯断裂などの大怪我をして出場機会を逃した。北野建設の横川朝治コーチの指導のもと、基礎トレーニングから鍛え直して、持ち前のメンタルの強さで、怪我のトラウマに打ち勝ち、復活ストーリーを描いた。
丸山の「自分がやりたいことに突っ走っていく性格」を横川コーチがコントロールした。
「この4年もそうですが、怪我をするまでの道程も含めて支えてくださった方々がいるからメダルを獲ることがえきた。1人1人に感謝を伝えたい」
丸山はそう感謝の思いを伝えた。
丸山は、今大会で混合団体、女子ラージヒルとまだ2種目でメダル獲得のチャンスがある。
注目は今大会から五輪種目に加えられたラージヒルだろう。
「今日以上に自分のジャンプの完成度を上げていければいいと思います」
丸山はそう前を向いた。
ラージヒルで、ストロム、プレブツを上回り金メダルを獲得する可能性はあるのか。
前出の岩瀬氏は少し厳しい見方をしている。
「金メダルの可能性は50%くらいでしょう。繊細な技術よりもアプローチスピードを利したパワージャンンプがラージヒルの勝敗を分けます。長身でパワーのあるストロムと、完成度が高くノーマルヒルで力みの取れた20歳の絶対王者のプレブツが金メダルの有力候補です。しかもノルウェー勢が好調で筋力のあるアイリンマリア・クバンダル(ノーマルヒルで5位)やバネがあるハイディーレ・トラーセル(同7位)が上位に入ってきてもおかしくありません。またカナダのアビエイル・ストレイト(同10位)も同様に弾丸が飛び出るような鋭さと強さがあります。まだパワーが足りない丸山は、空中スピードをもっと高めて、より完璧なテレマークの着地が必要になります」
何が起きるかわからないのが五輪の舞台。総合ランキング2位の丸山が、女子ジャンプ界の歴史をさらに塗り替える可能性はある。

