個人戦金メダル”本命“『4回転の神』マリニン「大ピンチ説」の真偽…ミス目立つ“異変”に1週間4度出場の疲労…「絶好調の鍵山、佐藤にチャンス到来か」…無良崇人氏の見解は?
ミラノ・コルティナ冬季五輪のフィギュアスケート団体最終日が8日(日本時間9日)行われ、米国が連覇、日本は2大会連続の銀メダルを獲得した。注目を集めたのは、予定を変更して男子フリーにも起用された“4回転の神”イリア・マリニン(21、米国)が“最終兵器”の4回転アクセルを回避してミスを連発させた異変だ。10日(同11日)に始まる個人戦を含めて1週間に4試合行う過酷なスケジュールへの懸念も残る。一方SPで自己ベストに迫る高得点をたたき出した鍵山優真(22、オリエンタルバイオ/中京大)はフリーに出場せず、佐藤駿(22、エームサービス/明大)が自己ベストを更新するノーミスの演技で存在感を示した。団体戦から見えた個人戦の行方をグランプリシリーズや4大陸選手権の金メダリストで、現在プロスケーターとして活躍中の無良崇人氏(34)に聞いた。
「逆に失敗があったから個人戦では思い切りできる」
悲願の金メダルの前に立ち塞がったのは“4回転の神”マリニンだった。
中1日で10日(同11日)に個人戦が始まる過酷なスケジュールのため、当初マリニンは団体のSPだけに出場しフリーには出場しない予定だった。だが、日本に猛追され、連覇を狙う米国にマリニンを温存する余裕はなくなり、急きょフリーで起用されることになった。
日本は、坂本花織が女子フリーでトップに立ち、米国のアンバー・グレンがこの種目で3位に終わったため、ついに首位に並んだ。米国からすれば絶対に落とせない男子フリーに切り札のマリニンを準備していたのは、これ以上ない展開だった。
だが、そのマリニンに異変が起きていた。
冒頭の4回転フリップこそ綺麗に決めたが、次に予定していた4回転アクセルを回避して、トリプルアクセルに変えると、続く4回転ループが3回転ループとなるミスが出た。さらに後半に4回転ルッツ+1回転オイラー+3回転フリップの3連続ジャンプが予定されていたが、ルッツの着氷でバランスを崩して単発に終わってしまったのだ。
その後、4回転を2種類飛び、最後に五輪では長野五輪以来28年ぶりに解禁されたバックフリップ(バク宙)をSPに続いて試みて会場のファンを味方につけた。4種類5本飛んだ4回転の基礎点の高さから、200.03点の大台に乗せ、日本の佐藤のノーミスの演技を寄せ付けなかった。
「この注目とプレッシャーをとても誇りに思っていた。なぜなら自分の前にタイブレークとなり、勝負は自分のパフォーマンスで決まると思っていた。だからリンクに出て“よし!緊張感を解き放て!”と思ったんだ。チームがこれまでに成し遂げてきたすべての仕事を誇りに思います。みんながいなければこの金メダルは取れなかった」
そう胸を張った。
しかし個人戦に目を向けると金メダルの大本命は万全の滑り出しとは言えない内容だった。
マリニンはSPでもトリプルアクセルでステップアウトするミスを犯し、さらに4回転ルッツ+3回転トゥループの連続ジャンプでは、4回転ルッツが回転不足でGOEは-1.04となった。
鍵山に10点以上の差をつけられて2位に終わると「この団体戦には男子の個人戦に向けてエネルギーを温存するため、あえて自分の持っている力の50%しか出さなかった。計画通りだ」と強がりとも言いワケとも取れる問題発言を残して波紋を呼んだ。

