なぜミラノ五輪で飛距離では5.5m下だった二階堂蓮が48年ぶり2度目の珍しい“同点”銅メダルを獲得できたのか…テレマークの規則変更への対応と元日本代表だった父の「あきらめるな」の教え
ミラノ・コルティナ冬季五輪の男子個人ノーマルヒルが9日(日本時間10日)、プレダッツォ・ジャンプ競技場で行われ、初出場の二階堂蓮(24、日本ビール)が1回目101m、2回目106.5mの266.0点で銅メダルを獲得した。得点が同点だったことでグレゴア・デシュバンデン(34、スイス)と銅メダルを分け合う珍しい決着となった。また北京五輪の金の小林陵侑(29、チームROY)は、8位で銅種目で史上初の連覇はならなかった。
「メダルは想定内だった」
死闘だった。
1回目に101mを飛んだ二階堂は6位。102mだったトップのフィリップ・ライムント(ドイツ)との得点差はわずかに4.5。7位につけていた連覇を狙う小林も含めて、トップ10に残った上位の誰にも金メダルのチャンスがあった。
勝負の2回目で先に飛んだ小林は104mで暫定3位。
続く二階堂がトップに立つための「トゥビート」と呼ばれる目安は105.5mに設定されていた。二階堂は限界点であるヒルサイズ越えの大ジャンプをやってのけた。
飛距離は106.5m。しかも綺麗に着地でテレマークを決め、飛型点は19.0点×3の高評価。二階堂は両手で2度ガッツポーズした。
この時点で暫定トップ。1回目で5位以内に入った残り5人が二階堂を超えなければ金メダルである。
だが、いきなり続くデシュバンデンがヒルサイズを超えてきた。
107m。しかも着地も乱れず、なんと得点は266.0点で小数点まで同得点で二階堂に並んだのである。
さらにカツベル・トマシャク(ポーランド)も107mを飛び、飛型点も58.0点の高得点。ここで同率1位だった2人は一気に抜き去られてしまう。
後半の大ジャンプの連発を長年ジャンプを取材してきたスポーツライターの岩瀬孝文氏は、「ここのジャンプ台は追い風しか吹かないジャンパー泣かせの厄介な場所ですが、ちょうどその追い風が弱まり安定していました。しかもジャンプの場合、五輪初出場などは関係なく、最後のトップ集団は、誰が勝ってもおかしくない基本技術があり、こういう大ジャンプが続き、テレマーク勝負となりました」と言う。
そして最後の30人目。1回目トップだったライムントが「トゥビート」108mという過酷なV条件の中で、二階堂と同じ106.5mをマークした。テレマークが19.5点をつけたジャッジがいるほど完璧に決まり劇的な金メダルを手にした。二階堂は初めての五輪の舞台での最初の種目であるノーマルヒルで、デシュバンデンと共に銅メダルを獲得し、表彰台に4人の選手が並ぶという珍しい光景が生まれた。
「メダルは想定内ではありましたが、まさか同率で獲得できるとは思っていなかったので、そういうのも含めて嬉しいですね」
二階堂は同点メダルという歴史に残る珍しい銅メダルを喜んだ。
実は過去にジャンプ競技での同点メダルは一度だけあった。1980年のレークプラシッド五輪の70m級(現ノーマルヒル)で、八木弘和とデッカート(東ドイツ)が同じくポイントで銀メダルを分け合っている。46年ぶり2度目の珍事にどちらにも日本人が絡んでいるにも不思議な縁だ。
メダル獲得の分岐点はテレマークだった。
昨シーズンから飛型点に対するルールが変更され、テレマークがより重要視され、テレマークを取れなかった場合の減点がこれまでの2点から3点に拡大された。より得点への影響力が大きくなった。

