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銅メダルの中井亜美にはトリプルアクセルという武器がある。完成度が高まれば鬼に金棒だ(写真:西村尚己/アフロスポーツ)
銅メダルの中井亜美にはトリプルアクセルという武器がある。完成度が高まれば鬼に金棒だ(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

4回転時代の到来ではなく完成度追求へ…リュウと坂本の金メダル争いが示したフィギュア界の未来図とは?

 ミラノ・コルティナ五輪のフィギュアスケート女子シングルは米国のアリサ・リュウ(20、米国)が金メダル、坂本花織(25、シスメックス)が銀メダル、中井亜美(17、TOKIOインカラミ)が銅メダルを獲得して終わった。今大会から見えてきた4年後のフィギュア界を現役時代にグランプリシリーズ、4大陸選手権で金メダルを獲得、現在はプロスケーターとして活躍中の無良崇人氏に占ってもらった。

 男女フリーのジャンプが7本から6本に減る?!

 わずか1.89点差で坂本はリュウに敗れた。後半の連続ジャンプで最初の3回転フリップの着氷が乱れ、2つ目の3回転トゥループが跳べなかった。坂本はすでに前半に3回転フリップを使っていたので、REP(繰り返し)のペナルティを科され、この3回転フリップの基礎点が70%の4.08点となり、ここで得点を大きくロスした。3回転フリップ+3回転トゥループに挑んでいれば基礎点は10.45点あった。余裕でリュウの得点を超えて金メダルだった。
 一方の金メダルのリュウは、冒頭と後半の連続ジャンプの3回転フリップのエッジにアテンションがついたが、終始笑顔でほぼノーミスの演技をやってのけSP3位からの逆転を果たした。
 ロシア国内でのフィギュア中継の解説をしていた伝説の名コーチ、タチアナ・タラソワ氏が「リュウは覚え込んだプログラムではなく、即興のように滑っている」と評した安定感が際立った。
 無良氏は2人の戦いとリュウの金メダルに4年後のフィギュア界の未来図が、垣間見えたという。
「女子の戦いはこういう僅差の戦いになります。リュウはトリプルアクセルを跳べますが構成に入れず、完成度重視のプログラム構成を組んできました。GOEのプラスを重ねていく勝負ですね」
 対照的だったのが個人の中立選手として出場したロシアのアデリア・ペトロシアンだ。
 SP5位からの逆転を狙い、基礎点の高い4回転を2本入れる高難度なプログラムを組んできた。だが、冒頭の4回転トゥループで転倒。続いて跳ぶはずだった4回転の連続ジャンプを回避し結局6位に終わった。。
 無良氏は「もし2つの4回転ジャンプに成功していれば流れが変わっていた可能性がありますが、公式練習の段階から成功率があまり高くないという情報を耳にしていました。歴代のロシア勢の勢いはなかったですね」と指摘した。
 中井は基礎点が8.00点あるトリプルアクセルをフリーでSPに続き成功させたが、得点は140.45点と伸びなかった。アンバー・グレンも、トリプルアクセルを成功させ、2.40の加点がつきこれだけで10.40点を稼ぐも、後半の3回転ループの着氷で手をつき、フリーの得点は全体の3位に留まり、リュウと坂本には及ばなかった。 
 無良氏は女子フィギュアの4年後の未来図は今大会の流れが継承されるのではないかと見ている。つまり4回転時代の到来ではなく、芸術性に重きを置く、完成度追求の時代だ。
「五輪が終わると大幅なルール改正が行われます。フリーでのジャンプの回数が、7本から6本に減るという情報も流れています。イリア・マリニンが4回転を7本跳ぶという時代は終わりなんだと思います。4年後にどうなっているかは想像できない部分でもありますが、より芸術性重視の形へシフトしようとしているのでしょう」

 

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