「ネガティブな敗因分析に未来はない。勝ち筋のあった作戦負けだった」元WBC“V戦士”里崎智也氏が米メディアの「守備犠牲のスター優先。伊藤を中継ぎ起用すべきではなかった」の意見に反論
WBCで連敗を狙った日本は準々決勝でベネズエラに敗れ初めて4強以上に進出できなかった。米サイト「ジ・アスレチック」は「守備犠牲のスター優先」「ブルペンの編成運用の失敗」を敗因にあげたが、第1回WBC優勝メンバーでベスト9にも選ばれた元千葉ロッテの評論家の里崎智也氏(49)が独自の見解で反論した。
「イタリアが手本」
侍ジャパンを準々決勝で敗ったベネズエラが米国を破りWBC初優勝を果たしたことで、なおさら5-8で敗れた、あの1戦の悔しさが増すことになった。
大谷翔平が問題点のひとつに「(データーを)現場として常日頃から使ってなさそうだなという雰囲気が各球団(NPBの所属選手)に出ていた。そのギャップはあった」と指摘するなど、様々な敗因分析が行われる中で、米サイト「ジ・アスレチック」が「より優れた監督を起用せよ」との中見出しを取り「次回のWBCに向けて侍ジャパンなどはどうすれば立場を改善できるのか?」との厳しい論調の分析記事を掲載した。
浮き彫りになった問題点として「メジャーリーガーに過度に依存したこと」と「ブルペンの編成と運用の失敗」をあげた。
今回は井端弘和監督が8人のメジャーリーガーを招集したが「ポジションの制約がある選手たちを無理に起用した結果、守備を犠牲にしてでもスター性を優先する場面が多く見られた。最終的にそれが裏目に出た」と批判。
「制球型投手に不安定な守備が控える形となり、捕手の配球もそれを補うような内容に変わらざるを得なかった」と付け加えた。
対照的にベネズエラのオマール・ロペス監督が「三振を取れる投手が少ないから優れた守備が重要になる」とチーム編成において、ゴールドグラブ賞2度獲得のレッドソックスのウィルヤー・アブレイユや、大会MVPを獲得した昨季の三塁のゴールドグラブ賞のロイヤルズ、マイケル・ガルシアなど高い守備力を兼ね備えたメンバーを招集したことを紹介し「学ぶべき」とした。
また「同様にブルペンもベネズエラの反撃をしのぐには十分ではなかった」とし、阪神の石井大智と西武の平良海梅が怪我で出場辞退としたことを紹介しつつ、「沢村賞(日本版サイ・ヤング賞)受賞者の伊藤大海をリリーフで起用すべきではなかった。彼は(大会)4イニングで5失点を喫した。伊藤は非常に実績のある投手だが、その起用法で本来の力を発揮できなかった」と指摘した。伊藤は、1点リードの6回から登板してアブレイユに逆転3ランを浴びた。
だが、里崎氏はこれらの分析に反論した。
「じゃあ守備で負けた試合はありますか。ベネズエラ戦は種市の牽制ミスの失点はありましたが、後は全部外野の上を越されたホームランの失点で守備の綻びが影響したわけではない。それにゴールドグラブ賞のガルシアやアブレイユはチームで主軸を打っている選手です。例えば広島の菊池が、牧以上に打っているのならば菊池を選ぶでしょうが、日本とベネズエラではそもそものスタンダードが違いますよ」
レッドソックスの吉田正尚がレフト、カブスの鈴木誠也がセンター、日ハムの近藤健介がライトを守る外野の布陣と、まだ一塁が不慣れなホワイトソックスの村上宗隆、守備に不安のある横浜DeNAの牧秀吾を二塁に置いた守備力は不安視されていた。
だが、ベネズエラ戦で言えば、ライトは阪神の佐藤輝明で、鈴木が1回の盗塁を仕掛けた際に膝を痛めて退場したため、昨季のゴールデングラブ賞を獲得している阪神の森下翔太がセンターに入り、外野の守りはカバーされていたし、里崎氏が指摘するように守備力の差でベネズエラに負けたわけではない。

