
歴史的快挙に挑む佐々木尽に4年前に拳を交えた平岡アンディが「世界王者を飲みこんじゃう力がある」と熱烈エール
「すみだボクシング祭り2025」が17日、墨田区のひがしんアリーナで行われ、6月19日に大田区総合体育館でWBO世界同級王者のブライアン・ノーマン・ジュニア(24、米国)に挑戦する同級2位の佐々木尽(23、八王子中屋)と、WBA世界スーパーライト級王者への指名挑戦権を持つ平岡アンディ(28、大橋)がトークショーを行った。2人は、4年前にWBOアジアパシフィック&日本王座決定戦で対戦したライバル。ウエルター級は過去に日本人世界王者が1人もいない不毛の階級だが、平岡は「飲みこんじゃう力がある」とエールを送った。
現役復帰のパッキャオと戦えれば面白い
平岡は、4年前に拳を交えたかつてのライバルにエールを送った。
「僕としてはやってくれるんじゃないかと。ノーマンは強いですが打ち合いに持ち込める可能性がある。(佐々木には)飲みこんじゃう力はある。楽しみです」
佐々木の初の世界挑戦が6月19日に迫っている。
王者のノーマンは29戦27勝(21KO)無敗2無効試合の戦績を誇る右構えのボクサーファイター。1m73と小柄だが、黒人ボクサー特有の全身バネのような高い運動能力を持ち、スピード、パワー、テクニックに優れ、足を使ったアウトボクシングもインファイトもできる。万能型だ。昨年5月に暫定王者になったジオバニ・サンティリャン(米国)戦では、下馬評は不利だったが、壮絶な打撃戦を制して10回にアッパーで仕留めた。佐々木が視察した初防衛戦も3回に戦意喪失させた。ノーマンにアウトボクシングをされると、まだ引き出しが少ない佐々木に勝ち目はない。だが、打ち合いに来てくれると、佐々木のフックが爆発する可能性があり、勝機が生まれる。平岡は「打ち合いにくるのでは」と読んでいるのだ。
気持ちの優しい佐々木は、そのエールを受けて「嬉しいですね。自分が先走って申し訳ない。できれば一緒にダブル世界戦をやれれば良かった。いずれ平岡君の世界戦が決まると思うので、まず自分が集中してしっかり取らなきゃいけない」と世界戦“待ち”の平岡を気遣った。
平岡も、WBA世界スーパーライト級王者のゲーリー・アントゥアン・ラッセル(米国)との指名試合をWBAから指令されており、大橋秀行会長が「近いうちに発表できる」という状況にある。
佐々木にとって平岡との2冠戦はボクシング人生のエポックとなる戦いだった。1.8キロの体重超過を犯し、当日の体重に制限をつけた上で、試合は敢行されたが11ラウンドにTKO負けした。
「本当のトップレベルと試合をした時に今までやってきたことが通用せず、これじゃダメだと気付かされた」
あの挫折があったからこそ今がある。
平岡も「試合をした時に、彼の本気度、気迫を感じた。勝ちはしたが、絶対に上がってくると思っていた。いちファンとして応援している」と言う。
スパーリングを重ね疲労はピーク。それでも佐々木は、「疲れはむっちゃあったが、(平岡と会い)ガチで吹っ飛びました」と、声を大にした。