不振続くがオーストリアGPでも角田裕毅は絶大な人気(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
不振続くがオーストリアGPでも角田裕毅は絶大な人気(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

「今交代させても意味がない」角田裕毅の“電撃途中解雇”をレッドブル“重鎮”マルコ氏が全面否定

 オーストリアGPで最下位に沈むなど深刻な不振に陥っているレッドブル角田裕毅(25)の去就に関してチームのモータースポーツアドバイザーを務める重鎮、ヘルムート・マルコ氏(82)が、「今交代させてもまったく意味がない」と、今季途中の解雇を否定する注目発言を行った。ドイツの専門メディア『MOTORSPORTーTOTAL.COM』が30日に報じたもの。マルコ氏は,角田が自信を失っていると指摘した上で、4日開幕の英国GP以降の戦いへ向けて「彼を安定させるために全力を尽くす」と後方支援を約束した。

 オーストリアGPで最下位に沈み英国GP後に途中解雇の噂が…

 レッドブルの重鎮が角田の今季途中での電撃解雇を全面否定した。
 角田が完走した16台中屈辱的な最下位に終わったオーストリアGP決勝から一夜明けて、ドイツのモータースポーツ専門メディア『MOTORSPORTーTOTAL.COM』が、レッドブルのマルコ氏の注目発言をこう伝えた。
「今交代させてもまったく意味がない」
 早ければ4日開幕の次戦・英国GP後にも角田が“電撃解雇”されると伝えた報道もある中で、その“噂”を一蹴した。
 さらに今後のレースへ向けて次のように語っている。
「なぜならば、いま現在の裕毅は自信を失っているからだ。彼の実力の高さは、フリープラクティスのセッションで部分的に示されている。なので、公式予選と決勝を通じて、どのようにすれば彼を安定させられるか。彼が週末を通して素晴らしいパフォーマンスを発揮できる方法を、私たちは考えていかなければいけない」
 親会社のお膝元、レッドブルリンクで行われたオーストリアGPで、角田はフリー走行2回目(FP2)で7番手、同3回目(FP3)では9番手のラップタイムをマーク。FP2では4年連続でドライバー王者を獲得しているエース、マックス・フェルスタッペン(27、オランダ)とのタイム差を0秒394まで縮めた。
 しかし、公式予選で1回目(Q1)の18番手でまさかの敗退となり、決勝では最下位。まったくペースが上がらず、31周目にはアルピーヌのフランコ・コラピント(22、アルゼンチン)と接触。10秒ペナルティを科された末に、優勝したマクラーレンのランド・ノリス(25、英国)から2周遅れの惨敗だった。
 オーストリアGPのオープニングラップでは、フェルスタッペンがメルセデスのキミ・アントネッリ(18、イタリア)に追突されてリタイア。残された角田も最下位に終わった結果、2022年の第2戦、サウジアラビアGPから継続させてきた、レッドブルの連続獲得ポイントレースが「77」戦で途切れた。
 前戦のカナダGPまでの77戦でフェルスタッペンが獲得したポイントは実に68.4%に達している。特異な才能をもつエースドライバーの圧倒的な存在感が、レッドブルのセカンドドライバーに常にプレッシャーをかけてきたとマルコ氏は認めた。
「マックスは公式予選、そして決勝になると、突如として素晴らしいタイムを弾き出す。この繰り返しがマックスの歴代のチームメイトたちを疲弊させてきた。私たちのマシンの運転が極めて難しい点もあって彼らは絶望し、ミスを起こすか、あるいはクラッシュを起こし、やがては自信を失っていく。裕毅には十分なスピードがある。だからこそ、プレッシャーがかかっている状況で、少なくとも今後の数レースでポイントを獲得する方法を私たちは考えていく必要がある。次のレースまで時間がないなかで、それでも彼を安定させるために、レッドブルとして全力を尽くしていく」

 

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