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レッドブル角田裕毅がハンガリーGPフリー走行2回目でフェルスタッペン(右)を上回る9番手につける(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
レッドブル角田裕毅がハンガリーGPフリー走行2回目でフェルスタッペン(右)を上回る9番手につける(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

「マシンに多くの変更を加える必要がある」角田裕毅がハンガリーGPフリー走行2回目9番手で初めて“フェルスタッペン超え”を果たすも予選へ向け“貪欲”さを失わず

 F1の今季第14戦、ハンガリーGPが1日にブダペスト郊外のハンガロリンクで開幕し、レッドブルの角田裕毅(25)がフリー走行2回目(FP2)で9番手のタイムをマーク。マシンの不調で14番手に終わったエース、マックス・フェルスタッペン(27、オランダ)をレッドブル昇格後に初めて上回った。それでも角田は「グリップ感が足りない」と、不満を明かし、ローラン・メキース新代表(48、フランス)と重鎮であるチームアドバイザーのヘルムート・マルコ氏(82)の間で角田に対する評価が分かれるなど不安を抱えたまま公式予選に突入することになった。

 「ポジティブなステップがいくつもあった」

 公式セッションで角田が絶対的なエースを初めて超えた。
 FP2で9番手のラップタイムをマークした角田は、セッションを通じて振るわなかったフェルスタッペンを順位で5番手、タイムでは0.306秒上回った。いずれもレッドブル昇格後、12戦目にして初めての“快挙”だった。
 しかし、F1公式サイトで映像が公開されたフラッシュインタビューで、角田が言及したのは、1回目(FP1)に続いて悩まされたマシンの扱いづらさだった。
「正直言って、マシンのバランスそのものは主な問題ではなかった。僕たちが苦労したのは、普段は感じるはずのグリップ感が明らかに不足している点だった。少なくとも僕のマシンは、FP1からFP2にかけて一歩前進したし、他にもポジティブなステップがいくつかあった。それは非常によかったと思っている」
 角田が「僕たち」と言ったように、4年続けてドライバーズ王者を獲得しているフェルスタッペンも、グリップ不足のマシンに苦しめられた。FP2を終えた直後には無線を通じて、語気を強めながら陣営へ不満をぶつけている。
「いったい何が起こっているのか、まったくわからない。まるで氷の上を走っているようで、まったくマシンに乗れていない」
 イライラ感が頂点に達してしまったからか。FP2の低速走行中には、陣営のミスでコクピット内に残されたままになっていた白いタオルをコース上へ投げ捨てる危険行為に及んでしまう。セッション後にはチームとともにスチュワード(審議委員)に召喚されて事情聴取を受けて警告処分が下された。
 こうした状況を受けて、今日2日の公式予選へ向けて、角田は「マックス(・フェルスタッペン)と問題を共有して対処していきたい」と言い、こう続けた。
「マシンに多くの変更を加える必要があると思う。マックスのマシンからも、そして僕のマシンからもお互いにポジティブな要素を組み合わせながら、問題の根本的な原因を明日の予選までに特定して解決していきたい」
 インタビューに応じる表情や、コメントの内容を含めて、角田を取り巻く雰囲気が明らかに変わりつつある。第11戦のオーストリアGPと第12戦の英国GPで完走車のなかで連続最下位に沈むなど、どん底だった時期からのターニングポイントを探していくと、前戦のベルギーGPの公式予選直前に行き着く。
 スプリント決勝終了からわずか3時間の間に、角田のマシンに新型フロアが装着され、さらに各種セッティングにも改良が施された。7月に電撃解任されたクリスチャン・ホーナー前代表(51、英国)に代わり、レーシングブルズ代表から昇格する形で新たに就任したメキース氏が決断したアップグレードだった。
 ぶっつけ本番で臨んだ公式予選で、角田は5月上旬のマイアミGP以来、7戦ぶりに2回目(Q2)を突破。さらに続く3回目(Q3)でも、レッドブル移籍後で最高位となる7番グリッドを獲得するなど、11位に終わったスプリント決勝を含めて、不振を極めたそれまでとは見違えるような走りを見せた。
 決勝こそタイヤ交換のためのピットイン指示が遅れる陣営のミスで13位に終わった角田だが、上向いた流れをハンガロリンクにも持ち込んでいると言っていい。

 

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