
広陵野球部存続に影響?!SNSで告発された暴力事案で甲子園途中出場辞退の広陵が野球部などの部活動の体験、見学できるオープンスクールの中止を発表…暴力事案の再調査予定も
SNSで暴力事案などが炎上して夏の甲子園を途中出場辞退に追い込まれた広陵が18日、ホームページで9月6日に予定していた野球部など部活動の体験、見学のできる第2回オープンスクールの中止を発表した。同校は中止理由を諸般の事情としているが今回の一連の騒動が影響したと見られる。同校は16日に日本高野連から厳重注意処分を受けていた暴力事案の再調査を予定していること、指導体制の抜本的な見直しに加えてSNSでの誹謗中傷や加害行為の予告・煽動等に対して法的措置を含めて対処することを発表していた。また一方で同校は週刊文春で報じられた10年前の新たな集団暴行事件を否定したが、文春は第二弾の記事を掲載することを予告している。
中止理由は「諸般の事情」
SNSで暴力事案が暴露され、炎上状態となり、夏の甲子園の2回戦からの途中出場辞退を決めた広陵の問題の波紋が未だ止まらない。広陵は18日に公式ホームページで9月6日に同校で予定していたオープンスクールの中止を発表した。中止理由は「諸般の事情」。「本校ホームページにアクセスしにくい状態の中で、お申込みにもご苦労されただろうと拝察いたします。それにもかかわらず、このような決定に至りましたことを、心よりお詫び申し上げます」と謝罪した。諸般の事情とは、今回の一連の騒動の影響と、未だに収まる気配のないSNSでの騒ぎだろう。
広陵は今年1月に発生した寮内での暴力事案で日本高野連から厳重注意処分と、4人の加害生徒の1か月間の公式試合出場停止処分を受けていたが、日本高野連は日本学生野球憲章の規則に沿い、保護の観点から公表を控えていた。
だが、SNSでの告発で発覚、さらに1回戦突破のタイミングで別の事案がSNSで実名告発され、所轄の警察署に被害届が出されていることや第三者委員会が調査中であることが明らかになった。同校は、その中で監督、コーチの暴行、暴言がSNSで拡散された「事態を重く受け止めた」という。収まらぬSNSでの騒動が、大会運営に支障をきたし、誹謗中傷だけなく、爆破予告までされるに至ったことで「生徒、保護者らを守る責務がある」と14日に予定された2回戦の津田学園(三重)戦を前にした10日に出場辞退を決めていた。
さらに文春オンラインで10年前に、部室内で複数の上級生から殴る蹴るの集団暴行を受けて、意識を失って病院に入院、右半身の麻痺で一時的に車イス生活となった元部員の告白が報じられた。これに対して同校は16日に記事内容を全面否定する声明を発表した。
告白した部員が怪我をして入院、一時的に車イス生活を余儀なくされたことは認めたが、部室の鉄製のドアが閉まった際に頭をぶつけて起きた事故で「スパイクを履いたまま暴行に及んだ生徒もいた」などの集団暴行の事実を全面否定。また中井監督による隠ぺい工作についても否定するなどしたが、新たな疑惑が浮上したことでSNSでの騒ぎが再燃する事態となった。
この状況での部活動の体験、見学をメインとした第2回のオープンスクールの実施は難しいと判断したのだろう。同校のホームページによると、このオープンスクールは、受験を検討している中3の生徒、保護者が対象で、9月6日に同校で午前10時20分から15時まで行われ、施設、授業の見学、部活動の体験または見学ができることになっている。20ある運動部一覧のなかには、トップに硬式野球部(男子)があり、「硬式野球部の部活動体験に参加するには、広島県高野連の規定により、同意書を提出していただくことが必要です。女子硬式野球部の場合は必要ありません」との但し書きまであった。
8月8日から8月21日が申し込み期間となっていた。高校野球に詳しい関係者によると「この時期の野球部の体験、見学は新入部員の勧誘に重要なもの」で、実質的には、優秀な人材をライバル校に取られないように囲い込む“青田買い”的な役割を果たしているという。今後、どのような形で再開されるか不明だがオープンスクールの中止は部の存続にさえ大きな影響を及ぼす可能性のある危機的事態だ。