「広島の決断は正しい。日本球界はメジャーのリサイクルショップじゃない」楽天入団決定の前田健太が明かした「広島からのオファー無し」を球界大御所が評価し球界の傾向に苦言
日米通算165勝を誇る前デトロイト・タイガースの前田健太(37)の楽天入団が決定した。前田は自身のSNSで古巣の広島からオファーがなかったことを伝えた。巨人OBで西武、ヤクルトで監督を務めた広岡達朗氏(93)は、その広島の判断を評価した上で「日本球界はメジャーのリサイクルショップじゃない」と、メジャー帰りの選手が高額の年俸で争奪戦となる現状に苦言を呈した。
メジャー帰りに高額条件傾向に苦言
巨人など複数球団の争奪戦の末、楽天入団を決めたマエケンが、自身のインスタグラムで古巣の広島からオファーがなかったことを伝えた問題が少なからず波紋を広げた。
前田は「チームの為に自分の全てを捧げるつもりです。チームの為に腕を振りたいと思っております」と“新天地”楽天での決意表明をした上で、2006年のドラフト1位でPL学園から入団して以来、9年間世話になった古巣カープへの思いを綴った。
「今回は自分の実力不足の為オファーは届きませんでした。今のチームには必要ないと判断された事は悔しい気持ちもありますが後輩たちが頑張っている証拠でもあります。なので球団に対して悪く思う事もしてほしくはありません。これがプロの世界です。この事実を真摯に受け止め新しいチームでプレーする事を決断しました」
広島では2015年に前年にヤンキースで11勝9敗、防御率3.71の数字を残していた黒田博樹が電撃復帰して、2年連続で2桁勝利を挙げて2016年の優勝に貢献した例がある。
おそらく前田も黒田のように古巣に戻り恩返しをしたかったのだろうが、広島はマエケンへの復帰ラブコールを送らなかった。
広岡氏は「広島の判断は正しい」と評価した。
「前田の投球スタイルからいえば、1、2年はそこそこは活躍するんだと思う。だが、もう37歳。年齢には逆らえんよ。アメリカがダメなら日本があるという風潮に私はずっと疑問を抱いていた。今回の前田の条件は知らないが、高額の条件で争奪戦となることも少なくない。日本球界はメジャーのリサイクルショップじゃないんだ。そういう意味でそこに参戦せず、生え抜きの若手の育成にシフトした広島の姿勢は評価されていいだろう」
前田の日本球界復帰は11年ぶりだ。メジャーでは、9シーズンを投げ、防御率4.20を記録し、通算イニングは1000には届かなかったが、キャリア最初の4シーズンを過ごしたドジャースでは、1年目に16勝を挙げて地区優勝に貢献した。その後、ツインズを経て、2024年からタイガースと2年2400万ドル(約37億5000万円)で契約を結んだが、米サイト「トレード・ルーマーズ」によると、「球速低下がホームラン問題を引き起こし2024年に防御率6.09という大打撃を受けた」。さらに「今季序盤はブルペン起用されたが良い結果を得られず、タイガースが5月初旬に解雇。これが彼のMLBキャリアの終わりを意味した」という。

