米メディアは井上拓真に敗れた那須川天心に「弱点を見せたのではなく難しい挑戦で力が及ばなかっただけ」と同情的?!「明るい未来を感じさせるパフォーマンスを示した」とも評価
WBC世界バンタム級王座決定戦(24日・トヨタアリーナ東京)は大きな反響を呼んだ。プロ8戦目の那須川天心(27、帝拳)が、元WBA世界同級王者の井上拓真(29、大橋)に挑み、そのキャリアとメンタルで及ばず0-3判定負けを喫したが、米メディアは天心の奮闘を評価。「明るい未来を感じさせるパフォーマンスだった」など、今後の巻き返しに期待する声が多く見られた。天心も「絶対にあきらめない。まだすぐに復活したい」と再起を誓っている。
拓真の勝利を「番狂わせ」と伝えた専門サイトも
天心が泣き、拓真が咆哮した、あの緊迫感の漂うWBC世界バンタム級王座決定戦を米メディアはどう報道したのか。実は敗れた天心を評価する声が多かった。
ボクシング専門サイトの「Boxingscene」は拓真の勝利を「番狂わせ」と表現した。
1ラウンドからの試合経過を詳細にレポートし、天心が主導権を握った序盤を「那須川はカウンターパンチャーとしての腕前を存分に見せた。井上のジャブはほとんど防がれるか避けられ、クリーンヒットを当てることはほとんどできなかった。右のパンチが多少ヒットした場面もあったが、続けて攻撃をつなげることはできなかった」と紹介。
3ラウンド以降、反撃に転じた中盤を「井上の積極的なペースは那須川を終始苦しめた。ラウンド中には攻守が入れ替わり、井上が、那須川を誘い込み、那須川が先に打ったところに右のカウンターを返す場面もあった。那須川は時折左を当てたものの、井上の決め手を防ぐ方法は見つけられなかった」とし、終盤を「井上はリードを広げるため、前に出続けた。那須川の序盤のフットワークはもはや効果を発揮せず動きが止まった隙を突かれて、ジャブから右のコンビネーションをクリーンに受けてしまった。那須川は攻撃のたびにカウンターを受ける場面が続いた」と記述した。
それでも同サイトは天心の戦いを評価。
「この驚異的な才能はボクシングではまだ完全には開花していないが、この試合のパフォーマンスは将来に向けて多くの可能性を示した」
天心の可能性について言及した。
米スポーツサイト「SB Nation」のボクシング部門「Bad Left Hook」は、試合展開をこう伝えた。
「天心は最初の2ラウンドでとても落ち着き、我慢を保ち十分な距離からリーチのアドバンテージを生かして相手を混乱させた。しかし井上は3ラウンドにリズムを取り戻し、左のボディーで天心の動きを落とし、右のストレートを頭に放って安定した戦いを見出した」
そして同サイトも0-3判定で敗れた天心が、プロ8戦目で元WBA王者の拓真に挑んだ姿勢とその試合内容をこう評価した。
「井上の勝利ではあるが、那須川にとっても敗北ながら非常に立派なパフォーマンスだった。このスポーツは一般的に、経験を積むのが遅い選手に対して“挑戦を避けている”と批判したり、大きな挑戦をして負けた選手を“ダメだ”と完全に否定したりする傾向がある。那須川は、プロ8戦目にして実績あるチャンピオンでキャリアボクサーに挑み、立派で競り合いのある試合を見せた。彼が弱点を見せたわけではなく、ただ難しい挑戦で力が及ばなかっただけだ」

