角田裕毅“反対派”がいなくなりF1早期復帰へ追い風?!レッドブル“重鎮”マルコ氏が不振の責任をとって電撃退団…リザーバー角田の来季途中昇格へ“障害”がなくなった?
F1のレッドブルは9日、チームのモータースポーツアドバイザーを務める“重鎮”のヘルムート・マルコ上級顧問(82、オーストリア)が今季限りで退団することを発表した。20年以上に渡って強化の実質的なトップを担ってきたマルコ氏は、来年末まで契約を残していたが、ドライバーズ及びコンストラクターズ選手権で優勝を逃した責任を取る形で自ら退団を申し出たという。角田裕毅(25)の来季残留に最後まで反対したとされる重鎮の電撃退団で、来季はリザーブ兼テストドライバーに降格し、2027年のF1復帰を目指す角田の来シーズン途中復帰の“障害”がなくなった。
20年間レッドブルの強化トップを務める
シーズンを終えたばかりのレッドブルに新たな激震が走った。
レッドブルが初めてF1に参戦した2005年から、実に20年以上に渡って強化の実質的なトップを担ってきたマルコ氏の電撃退団。F1公式サイトが契約を1年間残して愛着深いチームを去る重鎮のコメントを伝えた。
「私は60年に渡ってモータースポーツに関わってきたが、レッドブルでの過去20数年間は非常に成功した旅路だった。多くの才能ある人々とともに作り上げ、共有してきた時間は本当に素晴らしいものだった。私たちがともに築き上げ、成し遂げてきたすべてに私は大いなる誇りを抱いている。今季の世界選手権を惜しくも逃したことは、私の心を大きく動かした。今こそこの非常に長く、濃密で、成功に満ちた章に自ら終止符を打つべき時なのだとはっきり悟った」
電撃退団はマルコ氏が自ら申し出たという。同サイトは今夏からレッドブルのチーム運営に深く関与してきたとされる、親会社レッドブルGmbHのオリバー・ミンツラフCEO(50、ドイツ)のコメントも伝えている。
「ヘルムートは年内いっぱいで、モータースポーツアドバイザーの役割を終えたいと私に申し出てきた。何度かの話し合いの末に彼の願いを尊重しなければならないと感じた。彼が新しい一歩を踏み出すのに適切なタイミングだと感じたからだ。20年以上にも渡ってレッドブルへ影響力を及ぼしてきた彼の退団は突出した時代の終わりを意味し、チームに大きな空白期間を生じさせるだろう。私は彼の決断を残念に思うが、それ以上に彼がチームのために尽力してくれた時間に感謝している」
マルコ氏の功績は、レッドブルが強豪チームへ変貌を遂げた期間を下支えしただけではない。若き才能を瞬時に見抜く卓越した慧眼を介して、レッドブルグループのジュニアドライバーの発掘及び育成にも尽力してきた。
今季のドライバーではエースのマックス・フェルスタッペン(28、オランダ)を筆頭に来季からレッドブルへ昇格するアイザック・ハジャー(21、フランス)らを見出だし、今季限りでシートを失う角田をF1に導いたのもマルコ上級顧問だった。
そして重鎮がキャリアの最後に惚れ込み、育て上げ、来季のレーシングブルズ昇格へと導いたのが神童アービッド・リンドブラッド(18、英国)となる。
当初は10月下旬とされていた来季陣容の発表が、今月2日まで大幅にずれ込んだ。その裏には、角田のレッドブル残留を主張するローラン・メキース代表(48、フランス)とハジャー昇格を訴えたマルコ氏との意見対立があった。さらにレーシングブルズのシートの人選を巡っても最終結論が出なかった。
リンドブラッドの昇格に時期尚早の声も少なくなかった。だが、最終的には、リンドブラッドの昇格と今季第3戦の日本GP前にレッドブルから降格し、レーシングブルズで徐々に調子を取り戻したリアム・ローソン(23、ニュージーランド)が残留することに決まったが、ここにも、レーシングブルズを若手の登竜門だとするマルコ氏の意見が大きく反映されたとされる。
結果、角田は、レーシングブルズにも残れず、5年間守ってきたF1シートを失うことになった。来季はリザーブ兼テストドライバーとして1年間、耐え忍びながら、ドライバーの大シャッフルが予想される2027年のF1復帰を目指すことになる。

