大晦日バンタム挑戦者決定戦前に井岡一翔が「(井上尚弥)より先に5階級制覇をするんだという気持ちはない」と注目発言…WBC王者の井上拓真の来場決定で何かが起きる?!
プロボクシングのWBA世界バンタム級挑戦者決定戦(大晦日・大田区総合体育館)の前日計量が30日、都内のホテルで行われ同級9位の井岡一翔(36、志成)はリミットの53.5キロ、同11位のマイケル・オルドスゴイテイ(24、ベネズエラ)は200グラムアンダーの53.3キロでともに一発クでクリアした。スーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(32、大橋)が5階級制覇への挑戦を明かしたことでファンは、日本人初の称号をどちらが先に奪うかに興味を抱いているが、井岡は「先にするんだという気持ちはない」と断言した。また井岡が挑戦する最有力候補であるWBC世界同級王者の井上拓真(29、大橋)が当日の会場に来場することが明らかになった。なお試合はLeminoで独占ライブ配信される。
「中谷潤人の苦戦を見て階級を上げるのが難しいとは感じなかった」
“大晦日ボクシング”の顔は井岡だ。これが13度目。髪の毛を短くオレンジに染めた36歳の井岡は何歳か若返ったかのように精悍だった。
「計量を終えて、いいコンディションに仕上がっている。初めてのバンタム級で成長を求めて新たなトレーニングを考えながらやってきた。自分自身のいろんなことにノビシロを感じた。楽しさが増した。そういう気持ちになれることが嬉しい。5階級に挑戦できるチャンスをWBAが下さったことに感謝したい」
公式会見の最初の質問でWBAのナンバー2でゼネラルマネージャーであるホセ・オリバー・ゴメス氏に確かめた。
9位の井岡と11位のオルドスゴイテイによる挑戦者決定戦に疑問の声が起きている問題についてだ。
「(WBAの)委員会として決定した。ランキングが5、6、9位の選手でも委員会が決めることはある。ただ今回の試合の勝者がダイレクトに世界戦をやることにはならない。それも委員会で決めることになる」
勝者は指名挑戦権を得ないが「挑戦者決定戦」という“冠”を付けたことに相違がないことを明かした。よほどのボクシング通でなければ理解が難しいが、プロモーター側としても井岡の再起戦であり、5階制覇への挑戦の入り口となるノンタイトル戦にファンへ伝わりやすい“肩書き”はつけたかったのだろう。
井岡は20日の光景練習で「賛否があるのはわかっているがチャンスと評価をもらったのは僕」「その先に5階級制覇をしたら誰も何も言わなくなる」と疑問の声に反論していた。
井岡が大晦日の内容で挑戦者にふさわしいパフォーマンスを見せればその声を封じ込めることはできるだろう。
しかし、日本人がまだ誰一人として達成していない5階級制覇への道は簡単ではない。6階級制覇のマニー・パッキャオや5階級制覇のフロイド・メイウェザー・ジュニアも階級が上がるとKO率が下がり苦戦が目立ち始めた。サウジアラビアでは、3階級制覇目となるスーパーバンタム級への転級初戦を迎えた中谷潤人(M..T)がセバスチャン・ヘルナンデス(メキシコ)に大苦戦した。バンタム級までは、飛び抜けていたスピードとパワーが、ヘンナンデスの前へ前へと立ち向かってくるファイトスタイルに通用しなかった。
「階級を上げて挑戦するのは難しい。それに対して挑戦していることが素晴らしい。試合内容としては厳しい展開になった。階級を上げて、パワー面、フィジカル面できつい展開を迎えた部分はあるが、相手のスタイルだったり、戦略だったり、中谷選手が研究されていて、中間距離で戦えなくて距離を潰された。接近戦の展開が続いてしまった。階級(の壁)以前に戦い方できつい展開だった。それがバンタム級からスーパーバンタム級に上げた初戦で露骨に出てしまった。相手は前に来るスタイルしかない。パワーや経験で止めることができなかった」

