「誤解を生むようなことを書かないで欲しい」大晦日WBA挑戦者決定戦に4回KO勝ちした井岡一翔がメディアへ苦言…その理由とは?
プロボクシングの元4階級制覇王者の井岡一翔(36、志成)が大晦日にWBA世界バンタム級挑戦者決定戦に4回KO勝ちし、WBAは最新ランキングで井岡を9位から3位に浮上させた。その試合後の会見で井岡は「言っていないことが記事になっている」「誤解を生むようなことは書かないで欲しい」とメディアに苦言を呈した。なぜプロ16年のキャリアを誇る井岡はそれを口にしたのか。
「言っていないことが記事になっている」
あと数時間で2025年から2026年へと年が変わる大晦日の大田区総合体育館。ベネズエラから来たWBAバンタム級11位のマイケル・オルドスゴイテイから左ボディで2度ダウンを奪い、4ラウンドにキャンバスに沈め、2年ぶりの勝利を手にした井岡は締め切りに追われる記者のことを考えて一刻も早くコメントを伝えようとしたのだろう。
リングを降りた裸のまま会見場に現れ、佐々木修平会長のジャージを借りて袖を通して用意されたイスに座った。
質問がリング上から5月の東京ドームでWBC世界同級王者、井上拓真(大橋)への挑戦を表明したことに及んだ時だった。井岡はすぐにその質問に答えず唐突にメディアへの苦言を切り出した。
「解釈って、それぞれだと思うんですけが、結構、記事を見させてもらうと、まったく言っていないことが記事になっていることが多いんですよ」
具体的な例を出した。
「(前日の計量後会見で)フィジカル面での成長の話をしていたじゃないですか。僕がわかりやすく、今だと井上尚弥選手のウォーミングアップとか見れば、こういうことをしているんだとわかります…て話じゃないですか。それを誰かは“井上尚弥選手のウォーミングアップを参考にしている”と。話がまったく変わってるじゃないですか(笑)。そういう誤解を生むようなことだけは書かないで欲しいんです」
前日計量後の会見で井岡はバンタム級への転級に向けて新たにBodyAxisの千田真矢フィジカルトレーナーの指導を受けて取り組んできたトレーニングについて熱弁をふるった。フィジカルトレーニングをボクシングの出力や連動につなげることに主眼を置いてトレーニングをしてきたことで、サウジアラビアでのスーパーバンタム級の4団体統一王者の井上尚弥(大橋)の控室でのウォーミングアップ風景を見て、「こういう力を出すためにこういう動きをしているんだな、彼はこうやっているからスピードや瞬発力が出てるんだなとわかった。ウォーミングアップが理にかなっている」と感じたことを明かしていた。
これは井上尚弥のウォーミングアップを参考にしたのではなく、ウォーミングアップの狙いを読み取れるようになったという話だったが、スポーツニッポンの電子版は「バンタム級転向の井岡一翔 新たなアプローチで自身高める 井上尚弥のウオーミングアップも参考に」との見出しを取って報じた。本文は一切間違ったことは書いておらず、スポーツ紙によくあるタイトルだけの“先走り”だったが、井岡にすれば「言っていないことが記事になっている」と感じたのだろう。

