ビッグエア歴史的快挙の木村葵来、木俣椋真“金銀メダル独占”に米ESPNが「日本がスノボ界の支配力を高める」と危機感募らせる
ミラノ・コルティナ冬季五輪の男子ビッグエア決勝が7日(日本時間8日)に行われ、木村葵来(きら、21、ムラサキスポーツ)が5回転半の高難度トリックを2本成功させ、大逆転で今大会の日本勢第1号となる金メダルを獲得した。木俣椋真(23、ヤマゼン)も銀メダルで日本勢がワンツーフィニッシュを成し遂げた。米スポーツ専門局『ESPN』は「日本がスノーボードにおける支配力をさらに高めた」と日本勢の複数メダル獲得を称えた。
3本目に逆転の「スイッチバックサイド1980(5回転半)」
土壇場で最高のトリックを成功させた。
首位の木俣を82.50点差で追っていた木村の最終3本目。スイッチバックサイドからの1980(5回転半)の大技を、ボードの先端を進行方向側の手でつかむグラブとともに完璧に成功させた。会心の手応えが全身を駆け巡っていたのだろう。得点が出る前から木村は両手でガッツポーズを作って雄叫びをあげた。
6人の審判がそれぞれ100点満点で採点。その中で最高点と最低点を除いた木村の平均点は、決勝全体で最高となる90.50点。3本滑るうち得点の高い2本の合計を179.50点として、逆に木俣に93.25点差をつけて首位に立った。
続くデーン・メンジーズ(20、ニュージーランド)と前回北京大会金メダリストのソ・ヨクメイ(21、中国)の合計得点も木村と木俣に届かない。日本勢による金・銀フィニッシュが確定した中で、最終滑走者の木俣がバックサイド2160(6回転)の超大技を成功させたかに見えた。しかし、着地で右手を雪面につけてしまう。
結果はDNI(改善なし)で、得点は1本目と2本目の合計171.50点のままで変わらない。2018年の平昌時五輪から正式種目に採用されたスノーボードのビッグエアで、男子として初めてのメダルを2つ同時に獲得。さらに木村は、ミラノ・コルティナ冬季五輪における日本勢の第1号金メダリストになった。
表彰式を終えた直後のフラッシュインタビュー。首にかけられた金メダルに「とても重たいです」と笑顔を浮かべた木村は、最後の滑りをこう振り返った。
「2本目は抜けの瞬間がちょっと噛み合わなくて、うまく着地ができなかったんですけど、3本目はそこをしっかりと修正できて、クリーンメイクできたのが良かった」
イチかバチかの超大技で果敢に逆転を狙った木俣も「技を含めて自分の力を120%で、マックスで出せました」と満足感を漂わせながらこう続けた。
「最後はやったことのない技をやるしかなかったけど、でもダメでしたね」
葵来と書いて「きら」と読む珍しい名前は「機動戦士ガンダム」に登場する「キラ・ヤマト」にちなんで命名された。ウインタースポーツとは縁遠い岡山県で生まれ育ったが、父親の影響を受けてスノーボードには興味を持っていた。
そして、趣味が一転して五輪アスリートを目指すようになったきっかけは、2014年のソチ冬季五輪だった。この大会から正式種目に採用されたスノーボードのスロープスタイルを制し、初代金メダリストになったセージ・コッツェンバーグ(32、米国)のまぶしい勇姿に、当時9歳だった木村は魅せられた。

