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日本選手権の女子100mハードル決勝の誤表示問題で振り回され、世界陸上代表内定を逃した福部真子(右)は号泣した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
日本選手権の女子100mハードル決勝の誤表示問題で振り回され、世界陸上代表内定を逃した福部真子(右)は号泣した(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

なぜ陸上日本選手権で女子100mハードルの1位→4位の“誤表示”が起きたのか?…天国から地獄の福部真子に同情の声と優勝した寺田明日香の苦言…世界陸上代表はどうなる?

 陸上の日本選手権が3日、大阪のヤンマースタジアム長居で行われ、女子100mハードルの決勝で、レース結果の誤表示が起きて、最初に1位と表示された福部真子(27、日本建設工業)が喜びの後に、4位と訂正され、今大会でのブタペストの世界選手権代表内定を逃して号泣する“悲劇”が起きた。東京五輪代表の寺田明日香(33、ジャパンクリエイト)が12秒95(向かい風1.2m)で5度目の優勝を飾ったが、同情の声が広がるなど、運営側のミスで波紋を呼ぶレースとなった。

 電光掲示に最初は福部が1位と表示も、その後4位と訂正

 

 女子100mハードルは大接戦になった。フィニッシュラインに4選手が僅差でなだれ込む。レース後、ビジョンに映し出されたのは寺田明日香の姿だった。
 陸上競技の場合、カメラはまず優勝者(と思われる選手)を追いかける。この時点で観
衆の多くは「寺田が勝ったのか」と思ったはずだ。
 その後、リプレイ映像が流れた。序盤は青木益未(七十七銀行)がリードすると、中盤あたりで寺田がトップに立ち、田中佑美(富士通)も浮上。福部真子は出遅れたが、終盤に猛追する。そして4人は並ぶようにしてフィニッシュラインに駆け込んだ。
 ゴールシーンは何度も流された。4人はほぼ横一線で順位の詳細は分からなかったが、
わずかに寺田が先着しているように見えた。なお大会記録は青木が持つ12秒94。フィニ
ッシュタイマーは12秒94(速報値)が表示されていた。
 レース後、4人はハグで健闘をたたえあった。
 陸上競技の公式記録は100分の1秒単位だが、実際は1000分の1秒まで計測されている。同タイムの場合は電光掲示板で1000分の1秒まで表示されることが多い(※1000分の1秒は切り上げ)。
 そして、レース結果が注目される中、電光掲示板には2人の名前とタイムが表示された。
 福部真子 12秒942
 青木益未 12秒949
 いろんな意味で会場内がざわついた。
 
 ほどなくして、全員の順位とタイムが電光掲示板に映し出された。
 1着 寺田明日香 12秒95
 2着 青木益未 12秒95
 3着 田中佑美 12秒96
 4着 福部真子 12秒99

 最初に電光掲示板に出された名前とタイムは誤表示だったのだ。
 この瞬間、福部は泣き崩れた。寺田は電光掲示板を指さしながら「これ嫌だね」と福部
の頭を撫でた。福部も「嫌だあ」と声を漏らした。
 福部は1位から一転、4位に〝転落〟したかたちになったのだ。
 優勝インタビューで寺田は、「ちょっと選手もショック受けちゃうので、しっかり見て(表示を)出してもらえたら。選手も人生が懸かっている」と苦言を呈した。

 

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