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ノムさんの“右腕”が選ぶ2023年夏の甲子園で光ったプロで見たい逸材
ノムさんの“右腕”が選ぶ2023年夏の甲子園で光ったプロで見たい逸材

夏の甲子園ドラフト候補「プロで見たい」11人の逸材…元ヤクルト編成部長のノムさん“右腕”が選ぶ

第105回全国高校野球選手権の決勝が、いよいよ今日23日、甲子園球場で連覇を狙う仙台育英と107年ぶり優勝を目指す慶応の間で行われる。今大会には、慶応に立ちふさがる仙台育英の高橋煌稀、湯田統真、仁田陽翔の“150キロトリオ”や花巻東の佐々木麟太郎らの“大砲ビッグ3”などドラフト候補もズラリと顔を揃えた。元ヤクルト編成部長で、阪神ではスカウトも務め、コーチとしてヤクルト、阪神、楽天で“名将”故・野村克也氏を支えた右腕としても知られる松井優典氏に「プロで見たい逸材」を11人ピックアップしてもらった。

智弁学園の松本大輝の評価が急上昇

 今大会は不作というより素材&センス型の甲子園だった。
「今大会はスカウトから見れば不作と言えば不作。即戦力に限りなく近い特Aの選手はいなかった。ただ一方で素材と野球センスが光る選手も多かった。球団やスカウトによって好みが分かれるだろう。数年先にスカウトの目が試される夏の甲子園だったとも言える」
 ヤクルトで編成部長を務めてドラフトの指揮を執りノムさんの“参謀”としても知られる松井氏は元プロスカウトの目線から、今大会をこう総括した。
 話題を集めたのは、花巻東の通算140発の佐々木、広陵のボンズこと真鍋慧、九州国際大付の佐倉侠史朗の“大砲ビッグ3”だ。松井氏は「ランクをつけるとすれば佐々木、真鍋、佐倉の順になるが総体的に評価は上がらなかったと思う」と厳しい見方をしている。3人は揃ってノーアーチに終わった。
「佐々木は背中に故障があったそうなので、そこを差し引いてみてあげねばならないが、逆方向を意識しすぎてポイントが近く打球に角度がつかなかった。右肩が入り上体だけであおるようにスイングするバレル打法には疑問が残る。プロではかなりの修正が必要になる。準々決勝で仙台育英の湯田に手玉に取られたが、あれが現状の実力かもしれない。ただバットスイングの速さは超高校級。一塁しか守れないのでパ・リーグ向きの選手だが直すところがあるのがノビシロ。プロか進学かで悩んでいるとの報道を見たが私はプロを薦める」
 松井氏が指摘したのは大会最速の151キロをマークしていた仙台育英の右腕、湯田との対戦。第1打席は、8球粘りながらもストレートで押し込まれて投ゴロ。第2打席は、一転、変化球で揺さぶられると、もろく崩されてチェンジアップに空振りの三振に倒れていた。
「真鍋も佐々木同様にインサイドのボールに差し込まれ、2年時に比べてパワーアップを感じない。小さくまとまりすぎた。慶応との3回戦で9回のチャンスにバントを失敗をした場面が象徴だろう。ただ肩は強いので外野もできるかもしれない。時間はかかるがドラフト1位で消える可能性のある素材」
 今大会では“ビッグ3”以外にも長距離タイプの内野手が目立った。2本塁打をマークした履正社の「4番・三塁」の森田大翔もその一人。
「能力は高い。回転軸がホーム側に倒れる点と、スローイングのボールの回転の悪さが気になったが、バットスイングは速く足もある。面白い存在」
 松井氏は慶応戦で先制の2ランを放った沖縄尚学の4番打者、仲田侑仁もチェックしていた。1m86、94㎏の大型一塁手。しかし「満塁本塁打を放ったセンバツから見ているが、対応力不足。外の変化球に苦しんでいる」と、克服できなかった課題をマイナス点とした。
 一方、今大会で評価が急上昇したのが、智弁学園のトップバッターでライトを守る松本大輝だ。3試合で打率.385の数字を残して、2回戦の徳島商戦では松井氏がリストアップした右腕、森煌誠のストレートを捉えバックスクリーンに特大の一発を放り込んだ。高校通算32発で、出塁率.529も特筆すべき数字。強肩&俊足で守備能力も高い。
「智弁学園の先輩である阪神の前川右京をさらにアスリート化したようなイメージ。バッティングに間があり、シャープ。タイミングやコンタクト技術にセンスを感じる。足、肩もある。将来外野のレギュラーの一角を奪う可能性のある素材」
 U―18日本代表に選ばれ、決勝に進出した慶応打線をトップバッターとして牽引し“美白王子”としても話題の丸田湊斗に関しては「三拍子揃った外野手でセンスは感じるが、現段階でドラフト候補のレベルにまでは来ていない。おそらく本人も進学希望だろうし、4年でどこまで成長するかに注目したい」という評価に留めた。

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