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慶応が107年ぶりの夏の甲子園V(写真・日刊スポーツ/アフロ)
慶応が107年ぶりの夏の甲子園V(写真・日刊スポーツ/アフロ)

なぜ慶応は常識を覆す「エンジョイベースボール」で107年ぶりの日本一を手にできたのか…「プレッシャーなき自己表現&目標追及の力」

 第105回全国高校野球選手権の決勝が23日、甲子園球場で行われ、慶応が連覇を狙う仙台育英を8-2で下して、大正時代の1916年以来、107年ぶり2回目の優勝を果たした。慶応は“美白王子”として話題の1番打者、丸田湊斗の決勝戦では初となる先頭打者アーチで先制すると、仙台育英の守備の乱れもあって5回に二死から一気に5点を奪って突き放し、左腕の鈴木佳門―右腕の小宅雅己とつないだ2人の2年生が2失点リレーで反撃を許さずに圧勝。慶応が掲げた「エンジョイベースボール」「常識を覆す野球」で全国制覇を果たし、森林貴彦監督は優勝スピーチで「高校野球の新しい姿につながるような勝利だったんじゃないか」と胸を張った。

 甲子園に「ケイオー、陸の王者、ケイオー」の大合唱

 

 甲子園を慶応の応援歌「若き血」の大合唱が包みこんだ。内野からアルプス、そして外野席まで肩と肩を組んでのスクラムがつなぐ。大正、昭和、令和と受け継がれてきた伝統の力。目に涙をためた森林監督が、優勝スピーチの最初に「仙台育英さん、この球場に来ていただいた観客の皆さんのおかげで実力プラスアルファの部分が出せたんじゃないかと思って本当に感謝しています」と、伝えるほどの“オール慶応”のパワーが、ドラフト候補を揃えた仙台育英のタレント軍団を圧倒し、全国3486校の頂点に立った。
「世界中のどこの高校生を探しても、どんな人を探しても最高の夏になったと思う」
 晴れの決勝戦のお立ち台に呼ばれたのは“美白王子”としてSNS上で話題となった丸田。試合直後に嬉し泣きをしていた丸田の優勝コメントが、慶応ナインの気持ちを代弁していた。
 その丸田の先頭打者アーチから歴史的試合は始まった。
 ドラフト上位候補としてリストアップされている湯田統真が投じたスライダーをすくいあげると打球はライトスタンドへと消えていった。
 試合後、それが夏の大会の決勝では初の記録だと知らされると丸田は「今(史上初の記録だったと)言われてすごく嬉しい。今までに公式戦で1本もホームランを打っていなくて、このためだけに取っていたのかなと今思った」と表情を崩した。
 実は、森林監督も湯田を攻略するには初回の立ち上がりしかないと考えていた。
「初回がひとつのチャンスと思っていた。ちょうどキャプテンの大村選手がじゃんけんに負けて先攻にしてくれたので、表の攻撃にまずいきたいなと、ひそかに狙っていました。見事な当たりでした」
 丸田に先制パンチを食らい湯田は明らかに動揺していた。初回からストレートのスピードガン表示は最速150キロを示したが、それをコントロールできない。
 さらに一死から3番の渡辺憩に三塁を襲う強烈なヒットを打たれ、続く4番の延末藍太の打席では、暴投で走者を進め、結局、四球。そして二死から痛恨の守備の乱れが起きた。渡辺千之亮を内野フライに打ち取ったかに見えたが、上空を舞う強い浜風に、高々と上がった打球が流され、ドラフト候補で主将でもあるショートの山田脩也が追いつかずにタイムリーヒットにしてしまったのである。
「勝っているときは動くな」がセオリーだが、「常識を覆す」をスローガンにした森林監督が、3番、4番の打順動かした対仙台育英用の新打線が機能した。

 

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