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日大が1940年創部のアメリカンフットボール部の廃部を決めた(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)
日大が1940年創部のアメリカンフットボール部の廃部を決めた(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

「臭いモノに蓋をした?」なぜ日大は薬物問題で揺れた名門アメフット部の廃部を決めたのか…在籍部員や来春の新入生はどうなる?

 アメフト関係者の一人は「すべてが悪質タックル問題ですよ」と指摘する。
 2018年の日大―関学の定期戦で起きた悪質タックル問題は、世間を巻き込む大問題に発展して、相手QBにタックルを仕掛けてケガをさせるような指示をしたとされる当時の内田正人監督が退任、アメフト部の体制がガラっと変わった。公募で立命大OBの監督を招聘。これまでの軍隊方式のチームの体質を一変させ、選手の自主性を重んじ、降格となった2部リーグに相当する「BIG8」からスタートして「TOP8」に昇格、2020年には甲子園ボウルに出場するまでの復活を果たした。だが、この間に寮内の規律が一気に乱れたという。
「立命大OBの監督が来たことで、内田氏が監督時代にあったパワハラや軍隊方式の古い体質がなくなり、空気は一変したのですが、逆に寮の規律などが緩くなりました。これまで禁じられた寮内での飲酒や喫煙も認められたんです。部員の人権を尊重し、信頼する方針は素晴らしく理想的でしたが、やはり20歳前後の若者ですから、放任されると全員が全員、自分を厳しく律することはできません。どうしても甘えが出るんです。ここから寮内の私生活が乱れました」
 その外部監督は2021年の夏に退任。日大OBがヘッドコーチに就任し、2022年春には、現在の中村敏英監督にスイッチしたが、いずれも寮に住みこむようなことはなく、崩れた寮の乱れた体質はそのままだったという。
 また日大の寮は一人部屋ではなく、最大8人が一室に寝泊まりする大部屋。そこで一人が大麻を使えば、他部員が興味を抱くことも避けられないだろう。
 8月の会見で澤田副学長は寮内の大麻蔓延については否定していた。だが、実勢は、寮内で大麻が蔓延。加えて上級生による下級生のイジメや窃盗事件まで起ききるなど、“悪事の温床”となっていた。
 もちろん法で禁じられている薬物に手を出した部員に最大の問題がある。しかし、第三者委員会の調査報告書でも指摘されたが、昨年の段階で保護者や警察から部員の大麻使用を指摘されていたにもかかわらず、問題の隠蔽に走り、理事長、理事会などトップへの報告を怠り、それらの対策を放置してきた大学、監督、コーチらのガバナンス不全、管理不足が、今回の大麻事件、廃部に至ったすべての根源だったと言っても過言ではない。

 

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