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西武の球宴出場ルーキー渡部聖弥が5回一死満塁で逆転打を放つ
西武の球宴出場ルーキー渡部聖弥が5回一死満塁で逆転打を放つ

なぜ西武のドラフト2位ルーキー渡部聖弥は存在感を示せているのか…新庄日ハムを撃破する“逆転打”…綿密なデータ活用

 西武が17日、本拠地ベルーナドームで行われた日本ハム戦で4-3と逆転勝ちし、連敗を3で止めた。2点を追う5回一死満塁でドラフト2位ルーキーの渡部聖弥外野手(22、大商大卒)がタイムリーを放ち、センター五十幡亮汰(26)の悪送球が加わり、走者一掃で一気に3点を奪う逆転劇を演じた。2度の負傷離脱もあって規定打席には到達していないものの、それでも渡部聖はここまでチーム2位タイの6本塁打、同3位の22打点をマーク。新人野手の活躍が難しいとされる中でなぜ1年目から大暴れを演じているのか。

 渡部と楽天の宗山の2人だけがルーキーで球宴に選ばれる

 必然に導かれた快音だった。
 1-3で迎えた5回に、ヒットに2つの四球で作った一死満塁のチャンス。右打席に入ったドラフト2位ルーキーの渡部聖に迷いはなかった。首位を快走する日本ハムの先発左腕、山﨑福也(32)が投じた初球。外角低目に沈むチェンジアップをバットの芯で完璧にとらえ、痛烈なライナーをセンター前に運んだ。
 三塁走者の滝澤夏央(21)が生還してまず1点差。さらにショートライナーになりそうだった打球にスタートが遅れた二塁走者の西川愛也(26)を三塁で刺そうとした五十幡の送球が大きくそれる。西川が還って同点。さらにボールがカメラマンボックスに飛び込み、テイクツーベースで一塁走者の外崎修汰(32)までもが一気に生還した。
 結果的に“走者一掃”となるセンター前タイムリー。自身についた打点は「1」だったが、それでも3番を任された22歳は「ズバリです」と胸を張った。
「山﨑投手はピンチになると変化球が増える、というデータがありました。あの場面では得意球とするチェンジアップで打たせてゲッツーを取る、という戦略で来るだろうな、というのが自分のなかでイメージできていたので初球からとらえました。最初はヒットだと思ったんですけど、若干ショートの選手に捕られるかもしれない、みたいな感じのところで(外野へ)抜けてくれたのでよかったです」
 西武が山﨑と対峙するのは今シーズン3度目。試合前の時点で西武打線は14イニング連続で無得点が続き、渡部聖も5打数無安打と封じ込められていた。一転してウイニングショットを完璧にとらえられたのはなぜなのか。答えは先発の高橋光成(28)が4番・レイエス(30)に先制の19号3ランを喫し、いきなり3点のビハインドを負った1回二死走者無しで回ってきた、渡部聖の第1打席にあった。
 山﨑が投じた初球、真ん中低目の116kmのチェンジアップを打ち損じる形でファウルした渡部聖は、カウント0-2と追い込まれた後の内角高目の138kmのストレートをセンター前へ弾き返してチーム初安打を放っている。
 5回の打席では初球のチェンジアップを狙っていたと明かした渡部聖は、このときに球筋をしっかりと自身の脳裏にインプットしていた。
「1打席目の初球で、シュート気味のチェンジアップがちょうど(第3打席と)同じようなコースへ来ました。それをファウルしたときにだいたいのイメージがわいたので、次に来たら絶対にとらえられる、というイメージができていました」
 4月中旬に右足首、5月下旬には左足首を捻挫。2度の戦線離脱を余儀なくされた関係で規定打席には達していない渡部聖は、それでもチーム2位タイの6本塁打、同3位の22打点をマーク。打線に必要不可欠な存在になっている。

 

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