
今日ゴング!井岡一翔はWBA王者との再戦に勝てるのか?メイウェザーを苦しめた元レジェンド王者は返り討ちに太鼓判も「戦術変更」に可能性を秘める
「井岡はガラっと戦術を変えてくると思う。問題は前戦で悩まされたマルティネスのフィジカル、パワー、手数にどう対抗するか。1ラウンドに決めたボディは今回も必須だが、ジャブとコンビネーションブローを効果的に使っていくしか手はないと思う。前回はそこが少なかった。そしてもうひとつが、前後、左右のステップワークを駆使した駆け引きのボクシング。ただそればかりだと、前に出て手数、勢いのあるマルティネスのペースとなり、ポイントが向こうの流れる危険性がある。どこかで、前戦のように打ち合い、“止める”時間も作らねばならない。マルティネスは3分間、フルに動くスタミナはなく、前回もメリハリをつけていた。お互いに得意な時間帯を3分間の中でどう作るか。その高レベルでの駆け引き勝敗のカギになると思うし、蓋をあけてみなければどうなるかわからないが、頭脳戦になると井岡に分がある」
中谷氏の意見は、少数派に分類されるのかもしれないが、筆者も同意見。1対3のオッズ以上に僅差の戦いとなり、戦術変更が劇的なドラマを生み出す可能性はあると踏んでいる。
勝てば、36歳1か月の井岡は、元3階級制覇王者、長谷川穂積氏が持つ35歳9か月の国内最年長王座奪取記録を塗り替えることになる。
「自分が中学から始めたボクシングをこれだけ長くできていることに感謝の気持ちがある。それは好きだから、志しているものがあるからできている。その時その時の選択で、やり続けてきた結果が今だと思う。すべては今にしか意味がないと思っているが、続けていることで、次の試合にそういった記録もかかっている。何か意味を成せればいい」
井岡はジャージの背中のどまん中に「志」と言う一文字を縫い込んだ。
「これが最後になるかもしれない」という覚悟で挑む運命のゴングは、午後8時に鳴らされる予定だ。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)