
なぜ巨人は阪神に勝てないのか…エース戸郷が“天敵”森下に先制2ランを浴びて岡本のいない打線は才木に129球完封を許す…対虎の失策はすでに「12」で2勝8敗
巨人が20日、甲子園球場で行われた阪神戦に0-4で敗れて連敗、貯金がなくなった。先発の戸郷翔征(25)が立ち上がりに3失点(自責2)し、打線は阪神の才木浩人(26)に今季初完封を許した。これで対阪神の今季成績は2勝8敗。なぜ巨人は阪神に勝てないのか。
戸郷の戻らない球威とリチャードの三振
苦悩するエース戸郷に本来の球威が戻らない。
その立ち上がりに阪神打線につかまった。1回一死から中野にインコースを攻めた146キロのストレートをレフト前へ運ばれ、続く森下には、低めへの145キロのストレートを完璧にすくいあげられた。
岸田がインローに構えていたミットよりも真ん中へ来たが、高さは間違っていなかった。しかし、森下自身が「浜風にもいい感じに乗って、芯にも当たっていたので手応えは完璧だった」と、自画自賛した先制の7号2ランがレフトスタンドへ吸い込まれていった。
さらに4番の佐藤に四球を与え、大山には、インハイの146キロのストレートをレフト前に持っていかれた。ファウルか空振りを取るべきコースのストレートが通用しない。しかも、苦しむエースをバックも援護できなかった。
続く前川を一塁ゴロに打ち取ったが、二塁をカバーして併殺を狙った泉口の一塁への送球が大きくそれて、その間に3点目を許すことになったのである。
戸郷の一塁ベースカバーも若干遅れていた。
スポーツ各紙の報道によると、阿部監督は「大量点を取れる打線じゃないから痛い失点になった。その中でミスもあった。そういうことをしているようでは勝てない」と嘆いたという。
才木の立ち上がりに二死一、二塁のチャンスを作るも、5番で起用されたヘルナンデスが三振に倒れた。以降、巨人打線は沈黙を続ける。戸郷とは対照的に150キロ台の球威のあるストレートを軸に大胆に攻めてきた才木に封じ込まれた。
4回には、手痛いミスが生まれる。二死から中山の打球は、右中間を真っ二つに割ったが、三塁を狙い、近本ー中野の中継プレーで三塁でアウトになったのである。
現役時代にタイトル獲得経験のある評論家の一人は、「3点差でツーアウト。二塁でも三塁でも大差はない。100%以上の成功確率がなければ、絶対に走るべき場面ではなかった。完全な暴走だ」と厳しく指摘した。
失点にはつながらなかったが、8回には、初回に続き守乱があった。
先頭の大山の三塁ファウルグラウンドへ上がったフライを中山が目測を間違えて捕球することができず、その直後にレフト前ヒットを許し、続く熊谷のバントも連携ミスで内野安打にしてしまった。
SNSやネットで物議を醸すことになった一死満塁からの才木の強攻策が併殺打となり、幸い追加点を奪われることはなかったが、こういうミスが目立つようでは流れをつかむことができない。9回、2人の走者を出すものの、最後はリチャードがショートゴロに倒れて、才木に今季初の129球完封を許した。