
「あそこでスクイズはない」巨人が阪神との4時間超えの雨中激闘を5-4で制するも阿部監督の采配に見えた「迷いと焦り」
先発の井上は、その裏、佐藤にセンターフェンス直撃のタイムリー二塁打を許し、6回にも佐藤の二塁打から大山にタイムリーを浴びた。だが、その2失点だけにまとめて今季3勝目を手にした。6日の阪神戦では、6失点と大炎上していたが、「やっぱりやられてばっかりではいけないので、今日は絶対にやり返そうと思って投げていました」という。
しかし、前出の評論家は、厳しい見方をしている。
「甲斐のリードも慎重になりすぎていて攻める姿勢が見られなかった。前回やられたことを引きずっていたんだと思う。これは山崎伊織を除く巨人の先発全般に見られる傾向だが、打者に向かっていく気持ちが、投球に現れない。その気持ちが影響しているのか、井上の場合は変化球で腕が緩むのも気になった」
巨人は7回から決死のリレーでしのぎきった。
7回には、2番手の左腕中川が木浪のタイムリー三塁打で2点差に迫られ、なお無死三塁で、代打の渡邉諒、近本を連続三振に斬って取ったものの中野の止めたバットに当たった三塁への打球が不運なタイムリー内野安打となった。1点差となり“巨人キラー”の森下を迎えるとベンチは田中瑛にスイッチ。田中瑛は自慢のパワーシュートで森下をショートゴロに打ち取った。
8回には今度は大勢が2本のヒットなどで二死満塁のピンチを迎えた。だが、ここも代打の楠本にファウルで粘られながらもライトフライに打ち取り、9回はマルティネスが三人で締めた。6回二死一塁からキャベッジの左中間を割るタイムリー二塁打で奪った追加点がなければどうなっていたかわからない薄氷のゲームだった。
4月は絶好調だった泉口の調子が下降気味になっていることもあって、新1、2番に抜擢した増田陸―門脇のコンビは機能した。8番で起用している浅野のハツラツとしたプレーも収穫だった。阿部監督は、試合前のミーティングで「熱い気持ちだけはみんな持ってくれ!」と呼びかけていたという。
今日22日の先発は今季ここまで5勝1敗、防御率1.17の山崎で、対する阪神も勝ち星には恵まれていないが、防御率1.00と安定しているデュプランティエ。投手戦が想定されるが、山崎を立てる巨人は落とせないゲームだろう。先取点をどう奪うか。ベンチワークが勝敗のカギになりそうである。