
「亀田家最後の戦いよ」亀田和毅は「2対8」の不利予想を覆せるのか…井上尚弥に負けたフルトンがヒント…王者レオ陣営は「ローブローに注意して」とレフェリーに“反則行為”の厳重監視を要請
JBCの検診での脈拍数は、五輪クラスのマラソン選手並みの「40」だった。史郎トレーナーは「バケモン。あの数字は練習せなでえへん」と胸を張ったが、12ラウンドをフルに動き続ける無尽蔵なスタミナはある。
絶好の参考例がある。
スーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(大橋)に2023年7月に8回TKO負けを喫してWBC&WBO世界スーパーバンタム級のベルトを失い、現在WBC世界フェザー級王者に返り咲いたスティーブン・フルトン(米国)にレオが敗れた試合だ。当時レオはWBO世界スーパーバンタム級王者だったがV1戦でフルトンの挑戦を受けた。フルトンはジャブを軸にプレッシャーをかけながら、ステップバックを多用して距離をとる出入りのボクシングを徹底した。レオが殴り合いに持ち込もうとするとクリンチワークとアッパーなどを使ってペースを握らせずに3-0で判定勝利してレオからベルトを奪ったのである。レオは途中得意のボディやフックで、フルトンをぐらつかせたが、決定打とはならず、終わってみれば、大差がついていた。
ハンドスピードや手数はフルトンよりも亀田が数段上。ただフルトンは強打でレオの前進を止めるシーンも演出していた。亀田は、ただアウトボクシングをするだけでは、レオの圧力に巻き込まれ、12ラウンド中7つ以上のポイントを奪うことはできない。亀田は、史郎トレーナーとのコンビが復活してからは、アウトボクシングだけではなくガードを固めてパワーを使って打ち込む攻撃的なスタイルを取り入れている。その攻撃的なボクシングを随所にどうミックスさせるか。史郎トレーナーも「接近戦は得意だしどっちでもできる。パターンが一個では無理。何が来ても全部対応できるようにしている」とそこがポイントになると示唆していた。
フルトンがレオ戦で貫いたボクシングができれば亀田にも勝機はある。
それらをすべて思惑通りにできる可能性が今回の勝利確率ということになるのだろう。だが、亀田はフルトンに比べるとパワーが足りない。そこをキャリアと駆け引きでどう埋めるか。下手に殴り合えば倒される。
レオのターゲットは、来年にも、本格的にフェザー級に転級してくる井上尚弥とのビッグマッチ。この日は「井上の試合を将来の予定に入れている。それが日本で戦う理由のひとつもである」とも明かした。
だが、「和毅はランキング1位の指名挑戦者。勝つことに集中しているし、自分にとって貴重な経験になる」というのが本音で、王者側に余裕があるわけではない。