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モナコGPで角田裕毅は1周目ピットインの奇策に打って出たが裏目に(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)
モナコGPで角田裕毅は1周目ピットインの奇策に打って出たが裏目に(写真・Getty Images / Red Bull Content Pool)

「ユウキは列の中に並んでいるだけだった」角田裕毅の1周目ピットインの奇策もブロック作戦に阻まれて17位惨敗でレッドブル幹部が皮肉…「何も起こらなかった」と本人反省

 その中で角田は序盤の9周目にアクシデントにも巻き込まれかけた。
 公道を走るモナコの名物、トンネル出口に待つシケインでのブレーキング中に、アルピーヌのピエール・ガスリー(29、フランス)が角田のマシンに後ろから接触。マシンのフロントウイングと左前輪、アーム類などが大破し、3輪走行の状態でピットに戻ったガスリーはそのままリタイアを余儀なくされた。
 右後輪部に接触された角田のマシンに異常はなく、そのままレースを続けたが、ブロックで阻まれるという展開を脱することができない。
 角田はレース終盤まで13番手から順位を上げられなかった。追い抜きがほぼ不可能とされるモナコの洗礼を浴びて1周目のタイヤ交換の奇策は裏目となった。。
 角田の上位進出を阻んだブロック作戦は、SNS上で「スポーツマンシップに反する」と批判を浴びた。だが、結果としてレーシングブルズ勢がダブル入賞を果たし、ウィリアムズ勢もアルボンが9位、サインツが10位に入賞してポイントを獲得した。
 対照的に角田は、最初のピットインをできるだけ引っ張るノーストップ作戦を敢行したジョージ・ラッセル(27、英国)とアントネッリのメルセデス勢にも行く手を阻まれ、76周目で2度目のピットイン。2台がリタイアしていた状況で、一時は最下位の18位に順位を下げ、最終的には17位で決勝を終えた。
 トップを走っていたマックス・フェルスタッペン(27、オランダ)も77周目で2度目のピットイン。赤旗中断やセーフティーカーが出る状況に一縷の望みをかけながら周回を重ねたが、序盤のVSC以降は何も起こらず、最終的にはスタートポジションの4位でフィニッシュ。表彰台を逃している。
 英国のモータースポーツ専門メディア『CRASH.net』はレッドブルのホーナー代表の“嘆き節”を伝えている。
「マックス(・フェルスタッペン)は、赤旗やVSCを期待してぶらぶらしているだけだった。ユウキは逆に1周目でピットに入った。そのときは彼が大きな利益を得るように見えたが、その後に他のチームが戦術をいじり始めた途端に、非常にゆっくりと運転せざるを得なくなった。ユウキはレースのほとんどでハードタイヤを履いていたが、クリアなトラフィックを手に入れて、最も速いラップを記録したのは終盤だった。彼はレースを通してずっと列の中で並んでいただけだった」
 モナコGPで決勝出走数を「95」にとした角田は、片山右京氏に並んで日本人最多となった。しかし、レッドブルでの6戦を終えて獲得したポイントは「7」のままで増やすことができなかった。モナコ限定の新ルールに翻弄され、チームとして立てた作戦も裏目に出たとはいえ、18台中で“ブービー”という結果は、最悪の印象しか与えない。
 次戦は30日開幕のスペインGP。レッドブルに昇格した段階でチームの幹部は「今シーズンは安泰」と角田が降格する可能性がないことを明言していたが、最高位がバーレーンGPの9位という現状を打破しなければどうなるかわからない。尻に火がついた角田は、スペインで評価を挽回する結果を求められることになった。

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