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東京ドーム内の壁には引退試合の写真と在りし日の長嶋さんのプレー風景が
東京ドーム内の壁には引退試合の写真と在りし日の長嶋さんのプレー風景が

あの日、長嶋茂雄さんは声を震わせて怒った…「それは別問題の議論です」…2000年「夢のON対決」となった日本シリーズ前の取材で金権野球への批判と巨人の横暴論について質問が飛び

 玉木氏は、巨人の4年ぶりの優勝を金権野球と批判、その数年後に球界再編問題が起きるのだが、巨人がドラフトの逆指名制度やFA制度の導入をリードしてきたことを「ナベツネの独裁」「巨人の横暴」とも厳しく論じてきた。
 玉木氏は、「定本・長嶋茂雄」という書籍まで出すほどの長嶋フリーク。玉木氏は、過去に何度か長嶋さんのインタビュー機会があり、長嶋さんは、玉木氏を「玉木先生」と呼び、握手で迎え入れてなごやかにインタビューはスタートした。だが、玉木氏が、大量補強についての質問をし始めると雲行きがおかしくなり始めた。
「取りすぎという批判は監督の耳に入っていませんか?」と聞くと「全然、ありません」と笑って否定して、こう続けた。
「セ・リーグの4チームのホーム球場が人工芝です。我々のやってきたあの時代と今の時代では根本的に違います。チームのスタミナといいますか、選手層が重要なんです。昔はレギュラークラスで1年を戦える。ONであったり、選手は動かなかった。でも今はチーム編成上、リタイヤが出るとバランスが崩れます。バランスが崩れると戦力への影響が出ます。一番の生命線である勝利にかかわってくる。どうしても戦力の幅が必要なんです。だから人からみればぜいたくだとか、金権だとか、言われますが、決してそういうアレじゃありません。むしろもう2、3枚持っていいでしょうね。予備軍として」
 玉木氏が「他球団なら資金的に不可能です。不公平だと思いませんか?」と突っ込むと、話をこう展開させた。
「現場サイドの反省の中で是が非でもこの2000年、世紀末の野球の中で有終の美を飾りたかったですよ。3年間、優勝していないんだから、どうしても、この節目の年、新たな世紀を迎える最終のミレニアムにね。しかもスポーツイヤー。オリンピックイヤー。その中でどうしてもプロ野球が輝きたいという願望があったんですね。ですから、これはオーナーの決裁がすべてだったんじゃないでしょうか」
 その不公平な戦力補強の旗をふったのは、昨年12月に亡くなったナベツネこと渡辺恒雄氏だった。ナベツネについても話が及んだが、場が緊迫したのが次の質問だった。

 

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