• HOME
  • 記事
  • 格闘技
  • 「那須川天心はプロの壁にぶつかっている」世界前哨戦でWBA世界6位を3-0シャットアウトもKO決着できずに猛反省…11月にも世界挑戦へ
那須川天心の左ストレートがクリーンヒットするもダウンシーンを演出できず(写真・山口裕朗)
那須川天心の左ストレートがクリーンヒットするもダウンシーンを演出できず(写真・山口裕朗)

「那須川天心はプロの壁にぶつかっている」世界前哨戦でWBA世界6位を3-0シャットアウトもKO決着できずに猛反省…11月にも世界挑戦へ

 この試合は世界前哨戦と銘打たれていた。
「那須川天心はもう次いけるんじゃないかと思ってもらえる試合をしたい」とも語っていたが、リング上では「(世界へ)一歩下がった」と発言した。
 公式会見でその真意を問い直すと「なんでそんなことを言ったんすかね。世界に何か足りない?足りなくはない。下がったというより現状維持。進んでいくしかない。那須川天心である以上、求められるものは大きい。課題だったり、普通の人が時間をかけられるものをかけられない。そこをつきつめていって、また進んでいかないといけない」と返した。
 さらに「ボクシングの見方を変えていかねばならない。綺麗にやりすぎているというものある」と続けた。

 どう見直すか?と聞かれて、天心語が飛び出した。
「ロックな男になります。毎日、これでいいんじゃなくもっともっとみたいな」
 メインでWBC王者の中谷潤人(M.T)がIBF王者の西田凌佑(六島)を6回終了TKOに仕留めてベルトを統一したが、天心は「見ていない。シャドーボクシングをしていた」という。
 2人の試合よりも今の自分がするべきことに集中していた。いかにも天心らしい。
「四天王?どこ(誰)に挑戦というのはない。すごいところに足を踏み入れていると改めて思う。すべてをかけて自分がどうなってもいいという生半可ではない気持ちを見せないと勝てない。そこにむきあって全部のベルトを目指すつもりでいる。どのベルトになるかわからないが、一歩一歩近づいていくしかない」 
 11月に予定されている「PRIME VIDEO BOXING」が世界挑戦の舞台。
 だが、WBAは堤聖也(角海老宝石)が休養王者で、7月に横浜で正規王者に昇格したアントニオ・バルガス(米国)に比嘉大吾(志成)に挑む予定で、その勝者は11月に堤との王座統一戦が義務づけられている。WBO王者の武居は9月14日に天心のスパーリングパートナーだったクリスチャン・メディナ(メキシコ)と指名試合。そのタイミングで挑戦できるターゲットはWBC&IBF王者となった中谷しかいないが、中谷は、来年5月の井上尚弥(大橋)とのスーパーマッチに備えて王座返上が濃厚。おそらく天心はそのWBCの王座決定戦への出場を狙うことになるのだろう。サンティリャンは、倒せなかったが、モロニー戦に引き続き、世界のトップランカーに恥じぬレベルであることは証明した。悔しい思いをぶつける舞台が世界戦なら最高だろう。
 「やるしかない。世界ってものともう一度見つめ直して真摯に向き合っていきたい」
 会見の最後。
 机の上に並べられたマイクやレコーダーの多さに天心は「まるで謝罪会見みたいですね」と言い、深々と数秒間、頭を下げて「ごめんなさい」と両手を合わせた。応援してくれたファンへ伝えたかった天心の切ない思いは、秋にはきっと力に変わる。

関連記事一覧