
中谷潤人がクリンチから西田凌佑の右肩を決めて投げ飛ばしたシーン(写真・山口裕朗)
統一チャンプ中谷潤人の西田凌佑を“病院送り”にしたファイトは本当に“ダーティー”だったのか…SNSで一部のファンがバッティングやクリンチワークなどを非難
中谷は、中学を卒業して単身アメリカに渡り、中南米のボクサーともスパーリング重ね、名トレーナーのルディ・エルナンデス氏から、あらゆるテクニックを教え込まれてきた。ルディが教えるのは、世界のボクシング。そこには、当然、反則スレスレの高等テクニックも存在する。ただ、その世界の常識は、まだ日本のボクシングファンに文化として浸透するまでには至っていない。
スーパーバンタム級の4団体統一王者、井上尚弥(大橋)に代表される極めてクリーンなファイトを見せられてきただけに、なおさら、中谷のファイトに一部のファンが「ダーティー」との印象を持ったのかもしれない。中谷氏が言うように、統一王者は日本のボクシング文化に一石を投じたのかもしれない。
ただひとつ中谷氏は統一王者にこう苦言を呈した。
「おそらく中谷選手は裏表のない真面目な人なんでしょうね。だから試合後に正直に“非情かもしれないが勝つために腕を狙った、目を狙った”というような発言をしたのでしょう。それくらい全力を尽くしたという西田選手へのリスペクトだったのかもしれないが、あそこまでバラす必要はなかったんじゃないですかね」
中谷は、今後、バンタム級のベルトを返上し、来年5月に東京ドームで計画されているモンスターとのスーパーマッチに備えて、スーパーバンタム級でのテストマッチを行う方向。対戦相手候補に昨年5月に井上に6ラウンドTKO負けを喫したものの1ラウンドにダウンを奪った“悪童”ルイス・ネリ(メキシコ)、5月4日に米ラスベガスで井上から2ラウンドにダウンを奪ったが8回に逆転TKO負けをしたWBA世界同級1位のラモン・カルデナス(米国)らの名前があがっている。
(文責・本郷陽一/RONSPO、スポーツタイムズ通信社)