
なぜ阪神の藤川球児監督は岡田彰布顧問の「まだいい時に戻っていない」という“警鐘”を聞き入れなかったのか…西武戦で湯浅京己のストッパー起用が裏目に出て悪夢の逆転サヨナラ負け
阪神が11日、ベルーナドームでの西武戦に逆転サヨナラ負けを喫した。今季初先発の伊藤将司(29)が8回途中まで無失点の好投を見せ、6回の森下翔太(24)の均衡を破るタイムリー、9回には4番の佐藤輝明(26)の18号ソロで2-0とリードして9回を迎えたがストッパーとして起用した湯浅京己(25)が2つの四死球などで一死満塁のピンチを作り、救援した岩崎優(33)が踏ん張り切れず、最後は途中出場の炭谷銀仁朗(37)にサヨナラ打を浴びた。5日の日ハム戦をテレビ解説をした岡田彰布オーナー付顧問(67)が番組内で「湯浅はまだいい時に戻っていない」と警鐘を投げかけていたが、藤川球児監督(44)の采配は裏目に出た。
2-0から逃げ切れず、最後は岩崎が打たれる
連夜の悪夢だ。
2-0で迎えた9回に藤川監督はマウンドに湯浅を送り込んだ。ブルペンでは湯浅と岩崎の2人が準備をしていた。湯浅は、先頭のクセモノの滝澤を見逃しの三振に取ったもののセデーニョには1球もストライクが入らずに歩かせ、ネビンの初球にカットボールがスッポ抜けてぶつけてしまった。続く外崎にも、コントロールが上下にぶれてボールが2つ先行。ストライクを取りにいって外角に浮いたカットボールを三遊間に運ばれた。途中出場の熊谷が飛びついて止めたが、内野安打となり満塁。ここで藤川監督が動き、岩崎にスイッチした。
だが、岩崎が踏ん張れない。
カウント1-0から「みんなでつないでつないできたチャンスだったので、なんとしても絶対に打とうという気持ちでいった」という源田にインローのスライダーを狙い打たれた。
「打った瞬間ヒットだと思った」という打球はライト線へ。2者が生還して同点にされてしまった。岩崎のスライダーは明らかに腕が緩んでいた。見送れば、おそらくボールの低めのゾーンのスライダーをしっかりとためて対応されたのには、それも影響したのだろう。
さらに一死一、三塁と続くサヨナラ機に長谷川を迎えて阪神ベンチは満塁策を取らなかった。西武は、ボールワンからの2球目に長谷川がバントの構えをして“偽装スクイズ”。源田がスタートを切っていたため、一塁が空き、阪神は、長谷川を申告敬遠した。西武は前夜のヒーローの代打山村を打席に送ってきた。ここは岩崎は見逃しの三振に打ち取り、二死満塁とした。だが、途中出場の20年目の大ベテランの炭谷に対してカウント1-2から、143キロのストレートで詰まらせながらも、打球はライト前にポトリと落ちた。炭谷は魚雷バットを使用していた。紙一重が打球の詰まりが足りなかったのは、その影響もあったのかもしれない。岩崎はマウンド上で膝に手をついたまま、その打球の行方を見送っていた。坂本はインコースに体を寄せていたが、そのボールは、逆球になってしまっていた。
なぜ9回の頭から岩崎ではなく湯浅だったのか。
スポーツ各紙の報道によると、藤川監督は、湯浅をファーストチョイスした理由を「湯浅から、もちろん岩崎にとは考えてた。岩崎も登板が空いていたのでそういった意味で湯浅から」と説明したという。岩崎は5月30日の広島戦以来、登板間隔が空いていた。その試合で岩崎は2本のヒットに四球も絡み1点を失っていた。点差があっためセーブがついたが、以降、藤川監督は、2試合連続でクローザーに岩崎ではなく石井を起用していた。岩崎の調子が落ちていると判断していたのだろう。だが、岩崎が10日も登板間隔が空く状況を作ったのは、ほかならぬ藤川監督である。
その石井が6日のオリックス戦で頭部に投手ライナーが直撃して戦線離脱。さらに前日のゲームでは、桐敷が4失点と炎上して逆転を許した。セデーニョ、ネビン、外崎と、右打者が並ぶ打順もあって、藤川監督からすれば、選択肢は湯浅しかなかったのかもしれない。しかし、5日の日ハム戦をTV解説した岡田顧問は、その番組内でこう警鐘を鳴らしていた。