
「負のスパイラルに」なぜ阪神は7勝エースの村上頌樹でさえ3失点の4試合連続逆転負けを喫したのか…森下翔太の痛恨判断ミスに“戦力外”加治屋蓮に反撃断たれる皮肉
阪神が13日、仙台の楽天モバイルパークでの楽天戦に2-3で逆転負け、今季ワーストタイの4連敗を喫した。12球団トップの7勝をあげている先発の村上頌樹(26)が4回に集中打を浴びて3失点して逆転を許した。これで4試合連続の逆転負け。セ・リーグでは首位をキープしているが、中継ぎ陣に続き、自慢の先発まで崩れ始めるという“負のスパイラル”に陥りつつある。
9回に一死二、三塁の逆転機を作るも
戦意を喪失しての完敗ではなかった。
1点追う9回に今季は、途中、クローザーのポジションを剥奪されるなど、まだ本調子とは言えない楽天の則本から途中出場の糸原、近本が連打で突破口を開き、中野がバントで送って一死二、三塁の逆転機を作った。だが、3回に先制タイムリーを放っている森下が150キロのストレートを打ち損じて、最悪の一塁ファウルフライ。同点の犠飛につなげることができなかった。続く佐藤は、勝負を避けられるかと考えられたが、ボール2になっても申告敬遠はなく、則本は勝負してきた。フルカウントから最後は、インハイの154キロのストレートに差し込まれてのライトフライ。逆球だったが、佐藤に対して6球中4球をストレートと真っ向勝負にきた則本の気迫に敗れた。
杜の都に34歳のクローザーの咆哮が響いた。
「マウンドは則本だったが、選手全員、ベンチも含めて必死に戦ってくれた結果」
テレビの代表インタビューに応じた楽天の三木監督は、安堵の表情。それほど、阪神は追いつめたが、悪夢の4夜連続の逆転負けである。
得意の機動力を絡めて、楽天の新外国人ハワードを揺さぶった。3回に森下、大山のタイムリーで2点を先制するものの、12球団トップの7勝1敗、防御率1.47の成績を残し、5月の月間MVPにも選ばれたエースの村上がリードを守れない。
4回だ。先頭の浅村に四球を与えると、一死から打率3割をキープしている渡邊佳に甘いコースに入った109キロのカーブを引っ張られ、さらにドラフト1位のルーキー、宗山にも141キロの高めに浮いたカットボールを引っ張られて、一、二塁間を破られた。
楽天は12日に2軍の下園打撃コーチと、1軍の後藤打撃コーチ、1軍についていた雄平打撃コーチを入れ替える緊急人事を行っていた。ここまで交流戦に入ってチーム打率は.221、得点は12球団ワーストの14得点で打線をなんとかしようというテコ入れ策。おそらく左打者には、「甘い変化球を引っ張れ」の指示が徹底されていたのだろう。
一死満塁となり、辰巳は、レフトへのファウルフライ。だが、ここで記録に残らないミスが生まれた。タイミング的には、本塁でアウトにするのは、難しい位置だった。実際、ホームはクロスプレーにもならなかったが、森下はダイレクトでバックホーム。そして、その隙をつかれて、楽天の一、二塁の走者にもタッチアップを許し進塁されてしまったのである。
三塁のタッチプレーに藤川監督はリクエストを求めたが、覆ることはなかった。森下は、岡田前監督の時代には徹底されていたカットマンまでの素早く正確な送球に徹するべきだったのだろう。
ただ森下はライトから慣れないレフトにコンバートされて、まだ16試合目。こういうギリギリのプレーの判断に必要な感覚をつかみきれていなかったのかもしれない。
これも藤川監督が固定されていた守備を動かした“ツケ”だ。